ラグビー日本代表 W杯へ完敗も収穫アリ 新戦力・福井にジョセフHC「良いパフォーマンス」
「ラグビー・リポビタンDチャレンジカップ、日本6-38オールブラックス・フィフティーン」(8日、秩父宮ラグビー場)
日本代表は9月開幕のW杯フランス大会に向けた今年初の実戦に臨み、ニュージーランド代表入りを狙う選手で構成されるオールブラックス・フィフティーン(XV)に6-38で敗れた。得点は前半に挙げたSO松田力也(29)=埼玉=のPG2本のみで、ノートライに封じられた。試合は代表同士のテストマッチではなく、キャップ対象外。15日に熊本市でオールブラックスXVと再戦する。
W杯イヤーの今年初実戦は、ノートライの32点差で完敗となった。共同主将のフランカー、リーチは「本当に望んでいる結果ではなかった。悔しい」とうつむいた。2万2283人の観衆で秩父宮が埋まり、大きな声援を送られたものの勝利は届けられなかった。
前半は代表復帰戦となった松田の2PGで6点を奪った。だが、ハーフタイムまでにあっさりと逆転を許し、後半は失点を重ねて1点も取れなかった。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は「チャンスを作ることはできたが、得点につなげることができなかった」と課題を挙げた。
ただ、今年初実戦は「テスト」に重きを置いたメンバー。キャップを保持しない5人の中でも、先発で“代表デビュー”となったフランカー福井は特に奮闘。前半8分に自陣でジャッカルを決めてピンチを救うなど、好プレーを連発した。
ジョセフHCは「いいパフォーマンスで、ほかの選手にプレッシャーをかけた」と、8月前半に発表されるW杯のメンバー争いにおいて“一歩リード”したことを強調。高評価だったと報道陣から伝え聞いた福井は「褒めてくれていると聞いた。ありがとうございます」と、23歳らしく笑った。
そのほか、リーグワン新人賞の長田も途中出場し、国際舞台での経験を積んだことは収穫となった。“代表デビュー”に「緊張感があった。まだまだですね」と満足はしていなかった。
15日の再戦も非キャップ対象試合だが、「稲垣(啓太)選手とかも入る予定」(ジョセフHC)と主力起用の方針も明かし、W杯メンバーにより近い構成とみられる。本大会開幕まであと2カ月。「テスト」から絞り込みが本格化していく。
◆福井翔大(ふくい・しょうた)1999年9月28日、福岡市出身。5歳からラグビーを始めた。東福岡高2年時には高校3冠。高校日本代表やU-19、20など世代別日本代表を経験し、高校卒業後の18年にパナソニック(現埼玉)入り。21年秋に日本代表に初招集された。ポジションはフランカー、ナンバー8。186センチ、101キロ。
◆長田智希(おさだ・ともき)1999年11月25日、京都府大山崎町出身。小4からラグビーを始め、東海大仰星に進学。3年時には主将を務め全国高校ラグビー優勝を果たした。高校日本代表にも選出。早大に進み、4年時には主将を務めた。ジュニアジャパン、U-20日本代表にも選出された。22年に埼玉に入団し、今季は公式戦14試合で9トライを挙げて新人賞。ポジションはCTBとWTB。179センチ、90キロ。