「アーティスティックスイミング・世界選手権」（１４日、福岡）

　新型コロナウイルス感染拡大影響による２年の延期を乗り越え、２２年ぶりに国内で行われる水泳の世界選手権が開幕した。ソロテクニカルルーティン（ＴＲ）予選では、前回大会２冠の乾友紀子（３２）＝井村ク＝が、２７３・２７００点をマークして首位発進。２大会連続の金メダルをかけ、１５日１９時半からの決勝に臨む。

　水色基調で波紋が広がったようなデザインの水着に身を包み、日本のエースが堂々と舞った。テーマは「水のゆくえ」。水を愛する気持ちと、ＡＳに取り組んできたこれまでの道のりを表現している。コースロープもない透き通った５０メートルプールにただ１人。乾の存在感が有観客の会場を魅了した。

　今季から採点基準の透明性を高めるために、採点方法が大幅に変更された。演技する技を１つ１つ細かく専用の用紙に記入し、試合２４時間前までに提出。その通りに実施できなければ大幅に減点されるシステムとなった。それに伴い技の成功、失敗を判断するディフィカルティテクニカルコントローラーという審判員も設置された。アーティスティック（芸術性）より、技の難度が重要視される採点方法となっている。

　多くの選手が技を認定されず点数を伸ばせない中、乾は全ての技を成功。２位で前回大会銅メダルのギリシャ選手に２１・０３００差をつけた。採点を待つキスアンドクライでは、指導する井村雅代コーチに肩を抱き寄せられて笑顔。点数が表示されると２人で手を振り、観客の声援に応えていた。