宇良 204センチ北青鵬なぎ倒し 29センチ差なんの!観衆沸いた4連勝「疲れました」
「大相撲名古屋場所・6日目」(14日、ドルフィンズアリーナ)
人気業師の平幕宇良が204センチの北青鵬を送り出し、4勝目を挙げた。29センチの身長差をものともせず、全力を振り絞った相撲で観衆を魅了。この日一番の盛り上がりを演出した。新大関霧島は正代を下して2勝目。大関とりを狙う3関脇は豊昇龍が1敗を堅守も、大栄翔が2敗目。若元春は2敗を守った。平幕錦木が全勝をキープして単独トップに立ち、1敗で6人が追う展開となった。
大銀杏(おおいちょう)は乱れ、息も絶え絶えに土俵で四つんばいになった。その背中に、惜しみない拍手と歓声が降り注ぐ。小よく大を制した40秒1の大熱戦。宇良が相撲の醍醐味(だいごみ)を体現した。
北青鵬の懐に飛び込んですぐに左を深く差して食いついたが、右上手を許す展開。攻め立てても“規格外の怪物”に振り回された。何度も体が浮きそうになりながら、何とか上手を切ることに成功。後ろに回りこむと、最後は体ごと大木を倒すように送り出した。
身長差29センチ、体重差42キロ。力を出し切った激闘に「疲れました」と感想がもれた。面目躍如の巨漢退治。かつての経験が生きた。「部屋に希善龍さんが居られたので、その時のことを思い出しながら」。3年前に引退した元十両の兄弟子で、195センチの上背から繰り出す上手投げの名手。「いつも投げられていた。だから今日は耐えられたのかも。ちょっと経験があるのとないのとでは違うので」。過去の稽古で染み込んでいた感覚を呼び覚まし、白星につなげた。
うだるように暑い名古屋の夏。15日間を戦い抜くため「よく食べて、よく寝ること。普段以上に食べられないから」と体調管理の基本を徹底する。これで連敗発進からの4連勝。持てる全てを振り絞り、宇良が熱い相撲を届けていく。