AS乾友紀子 涙の連覇 日本史上初の快挙に「ほっとしている」井村コーチが肩抱き寄せる

 「アーティスティックスイミング・世界選手権」(15日、マリンメッセ福岡)

 アーティステックスイミング(AS)の女子ソロ・テクニカルルーティン(TR)決勝で、乾友紀子(32)=井村ク=が276・5717点で2連覇した。連覇はチーム、デュエット種目含めて日本勢初の快挙。チーム・アクロバティックルーティン(AR)予選は日本(吉田、木島、佐藤友、佐藤陽、柳沢、藤井、鈴木、広田)が4位で予選通過。混合デュエットTR予選は、前回大会銀メダルの佐藤陽太郎、佐藤友花組(ジョイフルアスレティックク)が3位で決勝進出。混合シンクロ高飛び込みは伊藤洸輝、板橋美波組(JSS宝塚)が銅メダルを獲得した。

 両手で顔をおおい、あふれる感情を抑えられなかった。乾が日本史上初の世界選手権2連覇。「ほっとしている。福岡の世界水泳にこだわってきた金メダルを取ることができて、君が代を流すことができてよかった」。キスアンドクライでは井村雅代コーチに肩を抱き寄せられ、歓声の沸くスタンドに誇らしげに手を振った。

 今季から採点基準が大幅変更。従来より技の難度が重視され、成功すれば高得点、失敗すればベースマーク(最低点)となり大幅減点されるシステムとなった。予選の難度は全体2番手。実力で勝利をつかむため決勝は予選より難度を上げた。

 重圧はあったが「あなたの足に『不安』と書いてある。不安と書いてある足を上げるな」と師からゲキが飛んだ。その言葉に吹っ切れ、水を愛する気持ちと競技に取り組んできた道のりを表現したTRのテーマ「水のゆくえ」を堂々と舞いきり「ベースマークを取らずにできた。自分の強み」。新ルールでも実力を証明して見せた。

 前回福岡での01年大会のデュエット(立花、武田)で金メダリストを輩出した井村コーチに同じ色のメダルを届け、「特別な思いがあります」と乾。2種目2連覇へまず一つ目の王座を守った。次のフリールーティン予選は17日。世界女王がもう一つの頂点に挑戦する。

 ◆乾 友紀子(いぬい・ゆきこ)1990年12月4日、滋賀県近江八幡市出身。小学1年生から本格的に競技を始めた。五輪には12年ロンドンから3大会連続で出場し、16年リオデジャネイロ大会はチーム、デュエットとも銅メダル。21年東京大会はともに4位だった。世界選手権では19年大会のソロ2種目で3位、22年大会では日本勢初となるソロ2冠を達成した。立命大出身、井村ク所属。170センチ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス