大栄翔 大関昇進目安33勝に“M3” 重圧なんの!3関脇で唯一白星
「大相撲名古屋場所・10日目」(18日、ドルフィンズアリーナ)
関脇大栄翔が平戸海を突き落として、勝ち越した。大関とりを目指す3関脇のうち、唯一の勝ち星を手にし、春場所から30勝目。昇進目安となる直近3場所合計33勝まで、あと3勝とした。関脇豊昇龍は小結琴ノ若に押し出されて2敗目、関脇若元春は阿武咲に押し出されて3敗目を喫した。新大関霧島は宇良を寄り切って4勝目。1敗の首位は錦木、北勝富士の平幕2人で、豊昇龍と大栄翔、平幕遠藤が2敗で追う。
大関とりの重圧もなんのその。目の前で土がついた若元春を目にしても、大栄翔は集中力を切らさなかった。「自分のことで精いっぱい。あまり、ほかのことは考えずにやっている」。3関脇のうち、ただ一人の白星で勝ち越し、昇進目安の直近3場所合計33勝まで“マジック3”とした。
持ち味が出た。立ち合いから鋭い出足の速攻で、素早い突っ張りを繰り出す自分の形になった。強い圧力に平戸海は右へ左へと逃れ、頭を低く上手を取って反撃に転じてきたが、冷静に対処。「しっかり反応できた」と、動きの速い相手の背中を力強く両手ではたき込んだ。
得意の押し相撲だけではない。課題にしていた詰めの甘さを見せなかった。「15日間自分の相撲を取れたらいいけど、相手もいることだから。こういうのも星につなげていければ」と手応えを得た。幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)も「慌てないよね。押されてくると引きたくなるけど動きがいい」とうなずいた。
大関昇進へ、11日目は霧島戦とヤマ場を迎える。春場所では千秋楽対決に敗れて賜杯を逃した因縁の相手。それでも「誰が相手でも関係ない」と心は熱く、頭はクールに千載一遇のチャンスをつかんでみせる。