女子テニスのボール跡踏み潰し騒動でWTAが声明「いかなる状況でも人種差別容認しない」 調査へ 大会投稿にアジア人差別指摘も
ハンガリー・ブダペスト開催中のWTAハンガリアンGP(クレーコート)で起きた試合中のトラブルにおいて、アジア選手に対する人種差別が指摘されている問題で、女子テニス協会(WTA)は20日、声明を発表し、「WTAはいかなる状況においても人種差別を一切容認しません。昨日のハンガリーGPで起きた不幸な出来事とその後の投稿については検討中であり、今後対処される予定である」と、調査中であることを発表した。
騒動は同大会の1回戦、張帥(中国)-アマリッサ・トート(ハンガリー)との試合で起きた。第1セットの5-5の15-15の場面で、張の放ったライン際のショットがアウト判定に。主審が一度ライン上のボール跡を確認しにいったが、判定は変わらず。ただ、ボール跡はライン上にかかっているように見え、張は激しく抗議した。少し試合が進んだ跡、張はもう一度スーパーバイザーに確認するように訴えた。
すると抗議中にトートがライン際へ行き、ボール跡を踏みつぶして、確認不能に。地元観客からは張にブーイングが浴びせられ、精神的な問題を抱えていることを明かしている張は、パニック発作を起こし、涙を流しながら棄権した。
テニス専門メディアの「The Tennis Letter」は、トートの行為について「最悪のスポーツマンシップ」と断じ、「張はブーイングを浴びて試合から退いた。最悪。ただ酷い」と報じた。また、張が棄権後に主審やトスと握手を交わした一方で、トートがガッツポーズしている姿にもSNSでは「ボールマークを消して相手が試合からリタイアしたことを祝うことは、テニスにおける最低のスポーツマンシップ」、「トートには制裁が与えられるべき」などの声があがっていた。
また試合後に大会側がSNSで「ハンガリーのテニス選手は誠実さの欠如と言われるようなことは何もしていない。中国人は操作されたビデオで世界を操っている」と投稿し、その後削除していたことが拡散されており、アジア人に対する差別があるとの指摘もあった。
張帥は試合後、自身のツイッターを更新。「練習での努力はすべて間違っていた。ライン付近に打ちたいのに、ラインに触れてもアウトだった」と呟き、「私の側でサポートしてくれた皆さんを愛してます」とつづっている。