【柴田亜衣の目】大橋選手にとって世界大会で泳ぐ楽しさが新たなモチベーションになれば

 「競泳・世界選手権」(24日、マリンメッセ福岡)

 競泳の女子200メートル個人メドレー決勝で、東京五輪金メダリストの大橋悠依(イトマン東進)は2分11秒27で6位だった。同100メートル平泳ぎ準決勝で鈴木聡美(ミキハウス)は1分6秒31の全体8位で決勝に進出。男子200メートル自由形準決勝で、松元克央(ミツウロコ)は決勝進出をかけたスイムオフに敗れ、同100メートル背泳ぎの入江陵介(イトマン東進)は予選で敗退した。

 ◇  ◇  ◇

 大橋選手は予選、準決勝といい調子できていたので、2分9秒台は出るのかなと期待していました。少し泳ぎが小さくなったというか、緊張からなのか、準決勝よりタイムも少し落としました。疲れもあったとは思いますが、3レースをうまくこなせる力がまだ戻ってきていなかったのかもしれません。原因は一つではないと思います。

 とはいえ、パリ五輪までは一年あります。ほかの選手の記録と比べても、ベストタイムで泳げばメダルを狙えます。福岡で開催されていることで、日本のみなさんが応援してくれたこともプラスに働くはずです。純粋に試合の雰囲気を楽しみ、世界大会で泳ぐ楽しさが新たなモチベーションになればいいなと思っています。

 鈴木選手はロンドン五輪のときのような勢いがありました。長い期間、なかなか思うような結果が出なかったことでもんもんとしていたと思いますが、ロンドンのときのように楽しく、勢いよく泳いでいました。

 鈴木選手にとって地元での大会ですし、自国開催の強みをプラスに代えているように感じました。もちろん本人の努力が一番ですが、落ち着いてレースを楽しんでいるようにも映りました。50メートルが本命でしょうし、50メートルのための100メートル。前半から積極的にいったことが結果につながりましたし、レースの順番も良かったと思います。

 初日、2日目を見ていて感じていることですが、多くの選手がレース後に「緊張した」などと口にしている印象を受けます。圧倒されたり、雰囲気にのまれたりしたわけではないと思うのですが、久しぶりの日本開催は選手にとって感じ方が違うのかな、と思いました。

 何が原因なのかと考えると、もしかしたら自国開催プラス有観客を意識しすぎているのかもしれません。コロナ禍を経て日本開催になったから、より頑張らなきゃとか、五輪前年なのでいい結果を残したいという過度なプレッシャーにしているのか…。経験豊富な入江選手はそうではないと思いますが、若い選手や初めて経験する選手は、もしかしたら心が変化についていけていないのかもしれません。(2004年アテネ五輪女子800メートル自由形金メダリスト・柴田亜衣)

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