楢崎智亜 3位!パリ五輪決めた 東京五輪は4位「次こそ金メダルを」

 「スポーツクライミング・世界選手権」(12日、ベルリン)

 男子複合決勝が行われ、東京五輪代表の楢崎智亜(27)が合計156・7点で銅メダルに輝き、3位以内に与えられる来年のパリ五輪出場権を獲得した。複合はボルダーとリードを実施し、成績に応じた得点(各100点満点)の合計で順位が決まる。ヤコプ・シューベルト(オーストリア)が183・6点で制し、リードとの2冠を達成。安楽宙斗(千葉・八千代高)は149・1点で4位だった。

 日本男子をけん引してきた楢崎智が勝負強さを発揮した。ホープの安楽を僅差でしのぎ、五輪切符を獲得。表彰台が確定すると、観客席の妻啓代さんのもとに駆けよって抱き合い「(これまでに経験した)3位史上で一番うれしい」と満面の笑みを見せた。

 鍵はボルダーの第1課題だった。左手でトップ(最高点)をつかみ、左踵をホールド(突起物)に引っかけて体勢を保持。最後は体をひねるように脚を交差させて右でも足場を確保し、右手もトップに添えた。残り約10秒、「工夫しようと思ったら、急に出た」という独創的な動きで攻略。安楽はこの難所をクリアできず、ここでの点差が明暗を分けた。

 東京五輪は4位。直後は「これは夢じゃないかな」と現実を受け止められなかったという。今季は序盤の国内大会から調子が上がらず、今大会も単独種目のボルダーとリードで決勝進出を逃していた。パリ五輪の目標を「次こそ金メダルを取りたい」と言い切った。リベンジの機会を手にし、東京での忘れ物を取りに行く。

 ◆楢崎智亜(ならさき・ともあ)1996年6月22日、宇都宮市出身。小学5年で競技を始めた。栃木・宇都宮北高に進学。高い身体能力を生かし、16、19年にはボルダーでW杯年間総合と世界選手権を制した。東京五輪は4位。妻はスポーツクライミングで東京五輪複合銅メダリストの野口啓代さん。170センチ。

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