「山中選外」はつなぐ戦術、SOこなせる序列優先した結果 ラグビー担当が解説
日本ラグビー協会は15日、都内で会見を開き、W杯フランス大会(9月8日開幕)に臨む日本代表メンバー30人を発表。バックスは15人が選出され、FB山中亮平(35)=神戸=が選外となった。
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FB山中の選出外は驚きではあるが、最終的には複数ポジションをこなせる選手が優先された。山中は19年日本大会で全5試合に出場。昨季のリーグワンでも全試合出場など35歳を迎えても進化を続け、信頼を得ていたはずだった。特長は飛距離の出る左足のキック。代表はロングキックを使った戦術を取ることもあり、その場合は欠かせない存在だった。
一方、ボールを保持してパスをつなぐラグビーも展開してきた。ジョセフHCは「チームの強みはスピード、スキルを使うこと」と改めてつなぐ戦術の方針を強調。選考は悩み抜いたという同HCだが、SO&FB兼任の小倉、WTBながら「けががあればカバーできる」とレメキを選出。あくまでSOをこなせる序列を優先した。
19年大会のアイルランド戦では日本がキッキングゲームで挑むと想定されていたところ、自陣からボールをつないで意表を突いた。今大会でもそこに活路を見いだす可能性は高い。1次リーグ同組の格上イングランドやアルゼンチンに対して“想定外”を起こすために山中を外し、松島らスペシャルな走りができるバックスリーで、日本の強みを生かす戦術にかじを切った。
ただ、小倉とレメキはともに今季の日本代表として出場機会が限られてきた。いくら経験値が高い選手とはいえ、本大会前最後の実戦となるイタリア戦でプレータイムを与える必要があるはずだ。(デイリースポーツ・ラグビー担当 知手健人)