“食事改革”が後押しした泉谷の成長 高校恩師が「高級料亭で出せるようなすごい料理」と驚いた母の尽力
「陸上・世界選手権」(21日、ブダペスト)
男子110メートル障害決勝で泉谷駿介(23)=住友電工=が13秒19で5位入賞を果たした。真面目でひたむきな努力を重ねてきた泉谷。取材でも誠実さは伝わるが、実は野菜が苦手で、食が細かった過去があるという。
武相高2年で総体14位に終わった後、高校時代の恩師・田中徳孝元監督(60)が泉谷の母に食事の改善が必要だと相談。同じ心配をしていた母はすぐに意見を取り入れ、その後の競技日誌には大変貌した食生活がつづられていた。田中元監督は「高級料亭で出せるようなすごい料理」と驚いたという。周囲の懸命な支えもあって最初は嫌々だった泉谷も次第に食事を克服していった。
175センチと小柄な泉谷にとって、世界と戦うための体作りは欠かせない。「食を好き嫌いしなくなったのが今の体に生きてきている」と、意識改革が成長を後押しした。
今では自炊もするようになった。「たいした物はできない」と笑いながら、「豚汁が好きです。豚汁を鶏肉に変えて鶏汁。野菜も取れるし、朝ご飯もそのまま作り置きができる」と楽しげに明かしてくれた。地道な努力が、日本勢初の快挙をたぐり寄せた。(デイリースポーツ陸上担当・田中亜実)