斉藤立 日本柔道界初の親子五輪決めた 父は連覇の仁さん、21歳大器への期待「可能性のある選手」
全日本柔道連盟(全柔連)は23日、オンラインで強化委員会を開き、新たに男女6階級で2024年パリ五輪代表を決めた。男子100キロ超級は、1984年ロサンゼルス、88年ソウル両五輪95キロ超級2連覇の故斉藤仁氏(享年54)の次男、斉藤立(21)=国士舘大=を初選出。日本柔道史上初の親子での五輪代表を決めた。同73キロ級は橋本壮市(パーク24)が32歳で初の五輪代表に内定。代表が決まっていない4階級は、12月のグランドスラム東京大会(東京体育館)まで持ち越される。
21歳の大器が亡き父と同じ五輪代表を決めた。今月のマスターズ大会で3位を死守し、5位に終わったライバル影浦心(日本中央競馬会)との差を広げ、代表に大きく近づいていた。強化委員会では、五輪まで11カ月という早いタイミングでの内定に慎重な意見も出たものの、議決権を持つ23人のうち16人の委員が賛成。かねて「必ずパリ五輪に出て優勝する」と目標にしていた切符を手にした。
斉藤は現在国士舘大4年で、身長192センチ、体重160キロ超の巨体から繰り出す切れ味鋭い内股などの投げ技を武器に台頭。父と同じ男子最重量級で、2008年北京五輪の石井慧を最後に遠ざかっている金メダル獲得が至上命令だが、日本男子の鈴木桂治監督は「まだまだ可能性のある選手。粗削りだが、日本柔道界の悲願である最重量級の金メダルをぜひ達成してほしい」と期待を込めた。
パリでは地元が誇る“絶対王者”テディ・リネール(フランス)ら世界の猛者が立ちはだかるが、斉藤は今年の世界選手権で惜敗も、好勝負を演じており勝機は十分。誰もが知る「SAITO」の“看板”を背負うホープが、五輪の夢舞台でその名をとどろかせる。
◆斉藤 立(さいとう・たつる)2002年3月8日、大阪市出身。父の斉藤仁氏(享年54)の影響で5歳から柔道を始めた。東京・国士舘高では18、19年インターハイ連覇。21年11月のGSバクー大会でシニアの国際大会を初制覇した。22年4月の全日本選手権で初優勝し、同年10月の世界選手権で銀メダル。23年5月の世界選手権では7位にとどまった。左組みで、得意技は内股、体落とし。家族は母、兄。国士舘大4年。192センチ、165キロ。