男子競歩・川野 「最高の状態」で2大会連続&日本勢メダル1号 15年大会からの伝統守った「強い思い」
「陸上・世界選手権」(24日、ブダペスト)
非五輪種目の35キロ競歩で男子の川野将虎(24)=旭化成=が2時間25分12秒で3位に入り、昨年の2位に続き2大会連続でメダルを手にした。今大会の日本勢のメダル獲得第1号。日本勢の2大会連続メダルは、昨年の男子20キロ競歩で2連覇を果たした山西利和(愛知製鋼)以来。野田明宏(自衛隊)は2時間25分50秒で6位に入賞。丸尾知司(愛知製鋼)は13位だった。女子は園田世玲奈(NTN)が2時間46分32秒で7位に入賞し、渕瀬真寿美(建装工業)は14位に終わった。
今年4月、川野の目標は突如奪われた。パリ五輪の競歩で35キロは実施されないことが決定。急な種目変更に戸惑い、同月の日本選手権も3位と惨敗した。それでも自らを鼓舞して「最高の状態」に仕上げ、メダルを死守。「思うようにいかないことが続き、苦しい道のりだったが、多くの支えのおかげで勝負できた」と感謝を口にした。
序盤に飛び出す選手がいても、集団の中で冷静にレースを展開。マルティンらのペースアップに備えた。残り5キロを切って三つどもえ。きつさもあったが「ぎりぎりまで付いていって、絶対にメダルを獲得するという強い思い」で3位は譲らなかった。
大会初日には日本が強さを誇る男子20キロ勢がメダルを逃した。「日本の競歩はまだ終わっていない」と気合を入れ、2015年大会から表彰台を守ってきた日本の伝統を途切れさせなかった。
昨年は1秒差で銀メダルに泣いた24歳の実力者。順位こそ一つ落としたものの「2大会連続で勝負をして、メダルを取り続けることに本当に価値がある」と自負をのぞかせた。パリ五輪へは20キロ挑戦を明言し「今までの取り組みをベースに、さらに上乗せし、スピード練習を行っていきたい」と、さらなる進化を見据えた。
◆川野 将虎(かわの・まさとら)1998年10月23日生まれ。宮崎県日向市出身。静岡・御殿場南高で競歩を始めた。東洋大3年時の19年7月に20キロでユニバーシアード銀メダル、同10月に全日本50キロ競歩高畠大会で3時間36分45秒の日本記録を樹立。21年東京五輪50キロは6位、昨年の世界選手権は35キロで2位だった。旭化成所属。177センチ、60キロ。