田中希実 実はずっと苦しんでいた 気付いた「何も考えずに横になる時間は必要」 5000m日本新で決勝へ
「陸上・世界選手権」(23日、ブダペスト)
女子5000メートル予選で田中希実(23)=ニューバランス=が14分37秒98の日本新記録をマークし、2組6着で26日の決勝に進んだ。広中璃梨佳(日本郵政グループ)が2021年に記録した14分52秒84を14秒86も更新した。広中は15分11秒16の1組12着、山本有真(積水化学)は16分5秒57の1組20着で落選。女子三段跳びの日本勢は予選落ち。森本麻里子(内田建設)は13メートル64のA組15位、高島真織子(九電工)は13メートル34のB組17位だった。
◇ ◇
実はずっと苦しんでいた。「世界を見据えた取り組みを今までずっとしてきた。そこを見過ぎて今足元がぐちゃぐちゃになっている状態で…。どこに向かって良いのか分からない状態」。昨年11月末、クイーンズ駅伝の前日会見で田中は大粒の涙をこぼした。
昨夏の世界選手権は800、1500、5000メートルに出場するも、決勝へ進めたのは5000メートルだけで、決勝での結果も12位。この状況に焦りを感じていた。
だが新たな環境に身を置き、変化があった。今年4月にニューバランスに入り、プロ転向。6月にはケニアで武者修行を行った。ハードな練習の中で気付いたのは「何も考えずに横になる時間は必要」ということ。「プロは体が資本。眠い時は寝ると最優先にした。それはサボってるんじゃなくて、それも仕事だと考えたら楽になった」という。
今大会でも1500メートルは準決勝で組最下位に終わったが、中2日で見事に立て直した。快挙の裏に、一回り強くなった精神力が見えた。(デイリースポーツ陸上担当・田中亜実)