北口榛花 「理科の実験室にある骸骨」がビッグスローの秘密 世界陸上女子やり投げ金
「陸上・世界選手権」(25日、ブダペスト)
女子やり投げ決勝で前回3位の北口榛花(25)=JAL=が66メートル73をマークして初の世界一に輝いた。日本女子では、ともにマラソンで優勝した1993年大会の浅利純子、97年大会の鈴木博美に続く3人目の偉業だった。北口は4位で迎えた最終投てきで逆転し、2大会連続のメダル獲得。日本陸連が定める選考基準を満たし、陸上で第1号となるパリ五輪代表入りした。
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「よく理科の実験室にある骸骨を目指してます」。ビッグスローの秘密を、北口はこう例えていた。姿勢を気にかけることで、「(骨が)人間としてそもそもいなきゃいけないポジションに近づける」と、体がより正常な状態になるという。
15年世界ユースの金メダリストだが、16年リオ五輪の出場を逃すと、その後は右ひじの故障などに苦しんだ。「復帰ですごくさまよってた時期」に知ったのが、姿勢を正す「解剖学的立位肢位(※)」という考え方だった。
これがピンチを救った。今年6月の日本選手権では、まさかの2位に終わり号泣。その後、ウエートトレーニングを7割に抑え、姿勢を気にかけることに重点を置いた。7月には自身の日本記録を4年ぶりに更新し、ついに世界の頂点に立った。大興奮しながらも、きれいな姿勢で掲げた金メダルが良く似合っていた。(デイリースポーツ陸上担当・田中亜実)
(※)解剖学的立位肢位 手を太ももの横につける姿勢を基本的立位と呼び、同じ立位でも手のひらを前面に向ける姿勢を解剖学的立位と呼ぶ。解剖学的立位肢位では、前腕と手のひらは顔面の向きと同一の方向を向く。