「大相撲秋場所」（９月１０日初日、両国国技館）

　大相撲秋場所の番付が２８日、発表され、琴ノ若（２５）＝佐渡ケ嶽＝が新関脇に昇進した。父で師匠の佐渡ケ嶽親方（元関脇琴ノ若）の最高位に並び、祖父で元横綱琴桜の先代師匠から異例の“３世代関脇”も達成。千葉県松戸市の同部屋で会見し、大関とりと初優勝への意気込みを口にした。名古屋場所で初優勝した新大関の豊昇龍（２４）＝立浪＝は、優勝制度制定以降９人目の新大関Ｖに意欲。新小結の錦木（３３）＝伊勢ノ海＝は、初土俵から所要１０３場所で史上３位のスロー新三役となった。

　念願を一つかなえた幸福感が親子を包んだ。父とともに会見した琴ノ若は「師匠の番付に並べたのはすごく光栄。二十数年ぶりに『関脇琴ノ若』を復活させられたのはすごくうれしい。同じ地位に立てたのは自信になる」と喜びをかみしめた。

　初土俵から約８年。自身に追いついた愛息に、佐渡ケ嶽親方は「やっと並んでくれたかな」とニッコリ。ただ、それも通過点に過ぎない。「私と並ぶのではなく、先代と並んでほしい。１場所でも早く先代師匠の琴桜を名乗ってほしい」と、さらなる出世を求めた。

　琴ノ若もそれは百も承知。大関に昇進すれば、琴桜を襲名する約束を生前の先代と交わしている。「そこを目指して入門当初からやってきた。変わらず上に向かって精進していきたい」と、あらためて思いを強くした。

　名古屋場所では１１勝。三役では初の２桁勝利を挙げ、恵まれた体で前へ攻める相撲に「通用するとわかった」と自信を深めた。師匠も「先場所の後半戦のような相撲を取りきれば、すぐ（大関が）見えてくるのでは」と期待を寄せる。大関とりの足固めへ。角界のサラブレッドは「２桁以上、三賞、優勝といろいろある。そこを目指してやっていきたい」と、貪欲に秋を見据えた。