富永啓生 世界打ち抜く ホーバス監督「彼は特別」 アカツキジャパンに欠かせぬ3Pシューター

 「バスケットボール男子・W杯・1次リーグ、日本代表89-109オーストラリア代表」(29日、沖縄アリーナ)

 日本代表は24年パリ五輪切符が得られるアジア最上位を目指し、奮闘を続けている。21年東京五輪3人制代表の富永啓生(22)=ネブラスカ大=は、NBA入りを目標に18歳で本場・米の大学に進学。NBAスーパースターのステフィン・カリー(ウォリアーズ)に称され“和製カリー”と呼ばれる名シューターが、1976年モントリオール五輪以来48年ぶりの自力出場へ、アカツキジャパンをけん引する。

 リングに1ミリも触れず、ネットに吸い込まれるシュートはまさに芸術的。富永は圧倒的なシュート力を武器に、長距離砲を主体に攻撃を展開するホーバス・バスケットに欠かせない存在だ。

 元日本代表の啓之さんを父に持ち、幼少期からボールと触れ合った。愛知・桜丘高時代にはU-18に選出され、河村勇輝(横浜BC)らとともにプレー。東京五輪では3人制で代表入りを果たした。

 大学は米・レンジャー短大に進学し、全米大学体育協会1部の強豪・ネブラスカ大に編入した。ただ“NBAの卵”がひしめく本場の実力は高く、1年時は「思うようなプレーができなかった。フィジカルが何より大事」と感じたという。

 そこからのオフシーズンは肉体改造に専念した。食事を1日5~6回に増やし、ウエートトレーニングも週5回取り組んだ。同大施設の充実度も後押しし、10キロの増量に成功。現在は84キロで、海外選手に当たり負けしなくなったことや、相手守備を外す1歩目の初速が上がり「プレーヤーとしての幅が広がった」と手応えを得た。

 毎日のシューティングも欠かすことはなく、多いときに500回成功するまで打ち込んだ。天性のセンスに努力を上乗せしたことで、体重急増による感覚のズレは起こらず、今では3点シュートラインからさらに1メートル離れた“ディープスリー”と言われる“超”長距離砲を沈められるまでに成長した。

 24年パリ五輪、28年ロサンゼルス五輪の活躍が期待される22歳。ホーバス監督も「彼は特別」と絶賛する。W杯は目標のNBA入りへ重要なアピールの機会となるはず。アカツキジャパンの未来を担う名シューターが、今大会で自身の夢もつかみ取る。

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