竹内智香の北京五輪レース前日に不適切指摘 コーチ1人と契約更新せず スキー連盟が公表 竹内「虚偽と受け取らざるを得ない発言」

 全日本スキー連盟(SAJ)は12日、公式ホームページに「2022/2023シーズン スノーボードアルペンコーチ体制について」と題し、リリースを掲載。コーチ体制が1人になった経緯について説明した。

 連盟によると、22年の北京五輪期間中にソチ五輪銀メダリストの竹内智香の担当コーチに対し、あるコーチ(以下当該コーチ)から竹内が「日本チームのウエアを着させて外国人を選手村の日本選手棟内の自室に入れているのではないか?という指摘がSAJの他種目コーチからSAJの事務局にあり問題となっている」と指摘があったという。

 竹内の担当コーチは翌日に試合が控えていたため、試合後に竹内に確認。日本選手棟内の玄関で外国人と用具の受け渡しはあったが、日本チームのウエアを着させたことも、選手棟内の自室に入れた事実もないと説明した。日本連盟は主張が食い違うことから、双方から事情聴取し、竹内の主張を事実認定。また、仮に日本選手棟内の自室に外国人が入っていたとしても、大会のガイドライン上、問題はなかった。さらにその後、当該コーチは実際にはSAJ他種目コーチやSAJ事務局以外の関係者から竹内に関する指摘を聞いたと説明したという。

 連盟は当該コーチの指摘が適切ではなかったと判断し、この指摘によりチーム内に混乱が生じたことから、契約更新しないことを決定。適任者が見つからなかったため、新たなコーチを選任できなかったとした。

 竹内は連盟の発表を受けて、自身の公式ブログを更新。心境をつづった。

 竹内の全文は次の通り。

 「2022年2月7日、五輪前日に起きた出来事から今回のリリースに至るまで非常に長い道のりでした。

 今回のリリースに至るまでの経緯等について、少し補足させていただきます。

 SAJのリリースにあるとおり、北京五輪の競技開催日の前夜に、2名いたSBAL(スノーボードアルペン)コーチAからコーチBに電話で「このことが知れ渡れば大問題になる」という主旨の会話がありました。

 競技前夜に突然知らされたその内容に対し、コーチBは非常に動揺したようですが、レースを控える私への精神的影響の大きさを考え、大事な1日が終わるまで自身の中に留めてくれ、レース終了後に私へ知らされました。

 そこで耳にした内容・行動は、私にとって身に覚えがないものでした。

 バブルのルール等、コロナ禍でさまざまな規制が特に厳しかった五輪期間中、私はIOC/JOC/SAJのルールを逐一確認しながらその中で過ごしており、それらのルールに一切違反していません。

 それなのになぜコーチAが、実際には存在しない事実をあたかも存在するかのように伝え、その後の説明でも、複数の関係者を巻き込み、数々の虚偽と受け取らざるを得ない発言をしたのかわかりませんでした。

 SAJに事実関係とコーチAの発言の動機について関係者のヒアリングを含む調査をお願いしましたが、発言の動機については明らかになりませんでした。

 またリリース終盤にある証言によりますと、事実ではないこの内容についてコーチAはSBAL関係者から伝えられたということで、本来であればその関係者に対してもさらなる調査が必要と感じております。

 そしてSAJは、誰であれスタッフが「実際に起きていない事」を事実として作りあげ、現場コーチへの業務妨害、選手への信頼、信用を傷つけるような行動をとったとしても、「規約違反には当たらない」という判断をしました。

 このSAJの判断について、せめて事実関係をリリースするよう求めてきました。

 その理由として、実際に五輪期間中に事実ではない私についての話が複数関係者を巻き込み広がったためということが一つ、そしてコーチAが再雇用されないことによって更に私に起きるマイナスの影響が起こりえたためです。

 しかし、当初はSAJにリリースすることも賛同して貰えませんでした。

 リリースされないことにより、事実関係を知る方は担当理事とごく一部の関係者のみであったため、懸念されたような「マイナスの影響」が国内外で起きてしまいました。それは私がコーチAを辞めさせた、という事実無根の話を耳にする事態に発展してしまい、私を信じ応援してくださっている人たちまで不安にさせてしまったことです。

 当然、ワールドカップ期間にも大きく影響しました。

 そのため、SAJに再度、関係者への事実関係の説明とリリースを求めてきました。

 結果として、今回のリリースに至るまでに発端となるコーチAの電話から1年半という長い時間を要してしまいました。

 この1年半もの間、私やコーチBがされた事はSAJの規約と照らし合わせて一般通念上も規約違反とならない=リリースされないようなことなのか、10代から競技者として活動してきた自分の感覚の方にズレがあるのか、私が今回のコーチAの発言をうやむやにして納得することをSAJは望んでいるのか、などと考え、もう諦めようかと何度も悩みました。

 しかし、私にとって五輪という4年に1度の特別な舞台において起きた事への精神的影響は大きく、傷ついた自分の気持ちに嘘をつくことなく、二度とこのような問題が起きてほしくないという思いから、リリースを諦めませんでした。

 今回のリリースにあたり、この問題に真摯に向き合ってくださった当事者でもある担当コーチ、そしてチームの担当理事が、常に選手の立場に寄り添ってくださった事を、心から感謝しています。

 私たちアスリートは、レースにおいてやり直しは出来ません。

その一瞬ごとに全身全霊をかけ、限りあるアスリート人生を過ごしています。

 この1年半、私のアスリート活動の傍らには、常にこの件へのストレスがつきまといました。

 私の願いは、今後このような問題が二度と起こらない事。もしも起きてしまった際には、組織としてこのように時間を掛けず、選手ファーストの迅速な対応がなされる事を強く望みます。

 2023年9月12日 竹内智香」

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