藤波朱理 初五輪!準決43秒で決めた 公式戦126連勝中 伝統の53キロ級「責任持って」

 「レスリング・世界選手権」(20日、ベオグラード)

 パリ五輪予選を兼ねて行われ、女子は53キロ級で19歳の藤波朱理(日体大)、62キロ級の元木咲良(育英大)が21日の決勝に進み、それぞれ初の五輪代表に決まった。藤波は4試合に勝ち、2017年9月からの連勝を126とした。50キロ級で東京五輪金メダルの須崎優衣(キッツ)、57キロ級の桜井つぐみ(育英大)、76キロ級の鏡優翔(東洋大)は決勝を制して優勝。鏡は最重量級の日本女子で2003年の72キロ級の浜口京子以来の頂点。

 レスリングの新ヒロインが圧倒的な強さで念願の初五輪を決めた。五輪切符が懸かった準決勝で、藤波は開始早々に電光石火の片足タックルで先制し、グラウンドでアンクルホールドを固めて追加点を重ねるなど、わずか約40秒で完勝。マットを降りて父俊一コーチと握手したが、ニコッと笑ったのは一瞬で「(五輪代表の)実感は湧かない。世界チャンピオンになるためにここに来ている。喜びは明日(決勝)に取っておきたい」と気を引き締めた。

 高校3年だった21年大会で初優勝したが、昨年は左足甲のけがのため無念の棄権。挫折を乗り越え、国内での五輪予選大会では東京五輪金メダリストの志土地真優(ジェイテクト)ら強敵を破り、挑戦権をつかんだ。吉田沙保里、志土地と五輪女王たちがつないできた階級を受け継ぎ「伝統のある53キロ級で責任を持って勝ちたい」と改めて決意を込めた。

 準々決勝ではエクアドル選手にまさかの7失点も、最後はフォール勝ち。「いつも通りと思ったけど、ちょっと浮いてしまう部分があった」。怪物級の強さを誇る19歳も独特の緊張感にのまれかけた。17年9月から続けている公式戦連勝記録は126に更新。2年ぶりの世界女王返り咲きが懸かる次の127勝目は、来夏の金メダルを占う上でも大きな意味を持つ1勝となる。

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