藤波朱理 127連勝で2度目世界女王 負傷欠場から返り咲き「一回り成長できた」

 「レスリング・世界選手権」(21日、ベオグラード)

 来年のパリ五輪予選を兼ねた大会で、五輪代表を決めていた女子53キロ級の藤波朱理(19)=日体大=が決勝でワネサ・カラジンスカヤ(AIN)に快勝し、2021年以来2度目の優勝を果たした。17年9月からの連勝を127に伸ばした。同じく五輪代表決定の62キロ級の元木咲良(育英大)は決勝でキルギス選手に敗れ、初の世界一を逃した。68キロ級の石井亜海(育英大)は3位決定戦に敗れたが、5位決定戦を制して五輪出場枠を確保した。

 勝利の瞬間、藤波は晴れやかな笑顔になった。大会直前に左足甲を痛め、無念の欠場となった昨年の世界選手権から1年。女王に返り咲き「一回り成長できたんじゃないかと思う」と喜びに浸った。

 開始早々にタックルを仕掛けて得点。身長164センチから長い手足を生かし、10-0でテクニカルスペリオリティー(旧テクニカルフォール)勝ちした。日体大では五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)の指導を受ける。緻密な組み手からの攻守に隙のない闘いぶりに、その片りんがうかがわれた。

 試合から離れた1年前は円形脱毛症になるほど苦しんだ。立ち上がるきっかけは、やはり大好きなレスリング。指の一つ一つの動きなど基礎から見直した。五輪につながる今大会は4年ぶりに国際大会での失点も喫し「初めての経験。まだまだ弱い」と自覚した。

 父の俊一コーチとともに日の丸を掲げてマットを回った。「五輪でウイニングランをしたらどんなに最高な気分だろう。もっと強くなる」。127連勝の勢いとともに、パリの栄光へ走っていく。

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