文田健一郎 パリ五輪決定!反り投げに固執せず決勝進出 1月に長女誕生「連れて行ける」
「レスリング・世界選手権」(22日、ベオグラード)
来年のパリ五輪予選を兼ねて行われ、男子グレコローマンスタイルで60キロ級で東京五輪銀メダルの文田健一郎(27)=ミキハウス=が23日の決勝に進み、77キロ級の日下尚(22)=三恵海運=は3位決定戦を制し、ともに五輪代表に決まった。文田は2大会連続2度目、日下は初の五輪となる。文田は準決勝でゲボルク・グアリビャン(アルメニア)を下した。日下はアラム・ワルダニャン(ウズベキスタン)を破り、世界選手権の日本グレコ史上最も重い階級でのメダル獲得を果たした。
東京五輪銀メダリストは変化を恐れない。文田は得意の反り投げに執着せず、堅実な闘いに徹し五輪切符を獲得。「これが勝つスタイルなら、僕はそれを貫く」と言い切った。
5月に左脚を負傷して万全ではなかった。初戦は返し技で1-7になる窮地も、相手の脚を触る反則で取り消し。「レスリングの神様がいるなら、チャンスを絶対に無駄にしない」と覚悟を決め3-1で突破した。2回戦以降も投げ技を狙わず、組み手で圧力をかけて優位に立ち、寝技は相手を担がずローリングで攻めた。準決勝は5-1で制し、誇らしげに胸をたたいた。
東京五輪で優勝を逃した悔しさは頭から離れない。昨年の世界選手権は投げ技を封じられて3位。紙一重の闘いを制するためには、こつこつ得点を重ねるしかない。「地味だし、やっていても面白くない」と自覚するが勝つために受け入れた。
今年1月に長女が誕生。「胸を張って、パリの試合会場に連れて行けるのがすごくうれしい」と安堵(あんど)の表情だ。父となって初の世界一を狙う。