日本人指導で確かな一歩 ブータン柔道、初のアジア大会
「幸せの国」ブータンから初めての柔道代表が杭州アジア大会に参加している。監督は青年海外協力隊員の福井勇貴さん(26)。ヒマラヤの小国の確かな一歩に「ものすごくいい経験。いろんなものを得られた」と感激している。
仙台市出身。5歳で柔道を始め、仙台育英高から流通経済大に進み、卒業後に恩師の勧めで海外普及の道を選択。昨年4月に標高約2300メートルの首都ティンプーに赴任した。当初は階段を上ると息が上がり、最初の練習では酸欠で「全身がつってしまい、選手にマッサージしてもらった」と照れ笑いする。
ブータンに最初の柔道教室ができたのは2010年。貧困層が多く未成年の犯罪が社会問題化していたため、ティンプーの私立学校の日本人校長が武道を通じた教育に着目した。
ブータンの柔道人口はまだ200人程度。それでも、東京五輪に男子1人が初出場するなど着実にレベルアップしている。今大会に挑んだ男子3選手は勝利を挙げられなかったが「知ってもらうきっかけになる。大好きな柔道を広めていきたい」と情熱的な口調で話した。