【記者コラム】日本は録音、中国は「好きな選手だから記念に動画撮影」 「ミックスゾーン」で見えた日中韓、各国記者の取材スタイル

 【杭州】杭州アジア大会の水泳担当として、序盤戦は大半の時間を競泳会場の杭州奥体センター水泳館で過ごしている。メディアで多いのは地元・中国と、同じく好選手がそろう韓国。レース後に選手が立ち止まるミックスゾーン(取材エリア)で、各国記者のスタイルの違いも見えてきた。(共同通信・中嶋巧)

 競技初日だった9月24日。決勝のミックスゾーンは経験したことのないほどの人だかりだった。中国は前夜の開会式で聖火台への最終点火者を務めた男子200メートル個人メドレーの汪順(おう・じゅん)ら注目選手が出場したため、決して広いとは言えないスペースに記者が殺到。中国だけで100人近くはいただろうか。入り口には「満員」と書かれたプラカードが掲げられた。

 韓国メディアも集まっており、人混みをかき分けながら、なんとか日本選手を取材できるポジションまでたどり着いた。油断していると、体をねじこんでくる海外勢に押しやられそうになる。今大会の成績は中国、韓国に対して日本が劣勢で、メディアの数でも「3番手」になっていることを実感した。

 中国人記者が密集した取材ゾーンに目をやると、一様に選手をスマートフォンで動画撮影している。日本と韓国の記者はICレコーダーやスマホの録音アプリを使って話を記録する。

 中国の若手女性記者に理由を聞いてみると「動画の方が、何を言っているのかがはっきり分かるから」との回答。別の男性記者は「仕事では使わない。スポーツの取材は普段しないし、好きな選手だったので記念に撮影した」とのことだった。選手にサインを求める人も目につく。

 午前中に実施される予選後の取材も、日中韓で三者三様だ。日本では夜の決勝を前に負担にならないようにとメディア側が配慮し、質問は短めで終えることが通例だ。

 対照的に、社会的にメディアに敬意が払われているとされる韓国は長い時間、選手が取材に応じる。中国は、取材を断る選手も多い。池江璃花子(横浜ゴム)に質問した中国の女性記者から「日本の選手は予選の後も取材を受けてくれるので、うれしいです」と言われ、少し誇らしくなった。

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