【記者コラム】カットとシャンプーで2千円以下、中国で散髪にトライしてみた 流行はサイド刈り上げの「アスリート風」
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【杭州】杭州アジア大会で報道陣の拠点となるメインメディアセンターには、食堂はもちろん、銀行、郵便局、コンビニ、コーヒーショップなど生活に必要な多くの店が入っている。その中で、ずっと気になっていたヘアサロンに行ってみた。(共同通信・小林伸輔)
仮設の店舗は広い入り口から内部が見える開放的な造り。手前にカット用の椅子が並び、奥に洗髪台がある。9月中旬に東京を出発する前に散髪に行く時間がなく、髪が伸びていたのもあるが、中国式カットへの好奇心も大きかった。 カットとシャンプーで88元。日本円にして2千円しない価格も魅力だった。 昼過ぎに店を訪れると、体格のいい男性店員が応対してくれた。まずは奥でシャンプー。いかつそうに見えるが洗い方は丁寧だ。 頭を後ろに倒すスタイルだが、日本のように顔にガーゼをのせたりはしない。目が合いそうなので思わず目をつぶっていた。 カット席に移り、身ぶりで「耳を出す?」と聞かれた、と思った。残念ながら、こちらは中国語が話せない。「うん、うん」とうなずくと、最初にはさみで頭の上の方から切り出した。 家の近所で行く理髪店は耳の周りや襟足から始めるので、やはり違うのだなと妙に納得した。 旅先で髪を切るのは嫌いではない。知らない土地で知らない人と出会い、大げさに言えば異なる文化を垣間見るチャンスでもある。2000年シドニー五輪を取材したときもプレスセンターで散髪したな、などと思い出しながら男性の手先を目で追った。 ロンドン支局に勤務していたときによく行った店の日本人理容師が、日本人は髪が太くて硬い人が多いので、まとまるようにうまく切るには技術が要ると話していた。中国人の髪も日本人に近そうだから、技術的には問題ないだろうと安心して座っていた。 しかし、次に男性が取り出したのはバリカンだった。耳の周りからすいすいと刈っていく。予想していなかった展開だ。 そういえば今大会の取材に一緒に来ている女性グラフィックス記者が中国選手の髪形に注目し、「サイドがすっと短くて、上が長めなスタイルが流行なんですかね。みんな同じような髪形ですよ」と話していた。 バリカンでの調髪はしばらく続いた。大小2種類のバリカンを駆使して、きめ細かい作業だ。その後、もう一度はさみですいたり整えたりして完成。終わりかなと思うと、再びシャンプーで髪を流してくれた。 ドライヤーで乾かして、男性が「OK?」と笑顔で聞いてきた。鏡を見ると悪くない。刈り上げにしたのは何十年ぶりだろうか。アスリート風とはおこがましくて言えないが、少し若返った気分になった。