ラグビー 日本ラグビーの未来のためにも再び「8強」をつかめるか W杯1次リーグ突破へ運命のアルゼンチン戦展望
「ラグビー・W杯・1次リーグD組、日本代表-アルゼンチン代表」(8日、ナント)
日本代表(世界ランキング12位)は1次リーグ最終戦のアルゼンチン代表戦(同9位)に臨む。決勝トーナメント進出をかけた大一番を展望する。
勝てば無条件で2大会連続8強進出が決まる。D組はイングランドの1位通過が決定している。3試合を終えた時点で日本とアルゼンチンは2勝1敗の勝ち点9で並ぶが得失点差でアルゼンチンが2位、日本が3位。負け、もしくは引き分けて両チーム勝ち点2の場合、日本は得失点差で敗退。ただ、ドローでも日本が4トライ以上を取ってボーナスポイント1を獲得し、アルゼンチンを3トライ以下に抑えれば、日本が勝ち点を12に伸ばし突破となる。
相手のアルゼンチンは07年W杯フランス大会では3位に入り、昨年8月にはオーストラリア、ニュージーランドに勝利するなど強豪国の地位を確固たるものとした。東葛でディレクター・オブ・ラグビーを務めたマイケル・チェイカ氏がヘッドコーチで、FW第3列目にはリーグワン三重でプレーするパブロ・マテーラが先発し、日本の前に立ちはだかる。
プレースタイルは伝統的にフィジカルが強くセットピースを武器とする。ただ、バックスも良いランナーが並んでいる上にWTBボフェリらから精度の高いキックが繰り出される。
日本はどう対抗するのか。CTB中村亮土(東京SG)は「ジャパンがやることは速いプレーをしてアタックを続けるということ。フェーズを重ねていくとアルゼンチンはペナルティをしやすい傾向にある。我慢強くやる」と想定。簡単に相手にボールを渡すことなく、目指してきたつなぐラグビーで攻める。
W杯前の実戦では1勝5敗と苦しんだ。だが、本大会に入りセットプレー、インプレーともに調子は上がってきた。そこに今大会初出場となるWTBシオサイア・フィフィタ(トヨタ)をスタメンに組み込み、変化を加えたことでどんな反応が生まれるか期待も膨らむ。
ここまでの1次リーグ3試合を終えて、残る課題は80分間を通して強度を保てるか。第2戦のイングランド戦、第3戦のサモア戦ともに後半20分以降に失速し、トライを奪うどころか失点を重ねた。同じような展開となればアルゼンチン相手には命取り。ただ、6月には「今まで一番キツい」と選手らが口をそろえた厳しい浦安合宿を乗り越えてきた。なんとか突き放されることなく僅差で終盤まで試合を進め、最後は1点でも上回る展開に持ち込みたい。
2019年の日本大会では8強入りし、国内で高まったラグビー熱。ここで突破できるかどうかは今後にも影響を与える。「覚悟をして挑みます。日本ラグビーにとっても今回の一戦は非常に大事だと思う。一個一個のプレーが子供たちとか未来の日本代表にとっても大事なものになる。魂を込めて自分の全力を尽くしてプレーしたい」と中村。運命のアルゼンチン戦へ全てを懸ける。