SO松田力也が号泣 キック全4本成功!今大会成功率95%も「悔しさしかない」
「ラグビー・W杯・1次リーグD組、日本代表27-39アルゼンチン代表」(8日、ナント)
あと一歩及ばなかった。日本は4強2度の強豪アルゼンチンに27-39で敗れ、2勝2敗の勝ち点9で同組3位に終わり、前回の2019年大会に続く2度目の8強入りを逃した。
涙が止まらなかった。志半ばで途絶えた頂点への道。「本当に勝てるところまで来たと思うし、勝てなくて悔しさしかない。たくさん応援があって、勝って恩返ししたかった」。SO松田力也(埼玉)は声を詰まらせながら、思いを吐きだした。
自慢の右足は、最後まで輝きを放った。右サイドの難しい位置も含め、この日もゴール3本、PG1本の全4本成功。今大会は20本中19本、成功率95%の驚異的な数字をたたき出した。先発落ちすら危ぶまれた大会前の不調から、キックのフォームを修正して復活。桜のジャージーを着ているからこそ、冷静さを失わなかった。
伏見工時代の恩師・高崎利明氏(61)=現京都奏和高校長=は松田が入学した時点のプレーを見て「これはジャパンにせなアカン」と一目で思ったという。ただ、当時は思い通りのプレーができないと「熱くなりコントロールを失った」。精神面では未熟だった。
そこで高校生でも意識させたのは日本代表。「ジャパンまで目指すというストーリーは描かせていた。ジャパンのSOに冷静じゃないやつはいない」。その上、常に冷静に試合を運ぶ同学年で深谷(埼玉)のSO山沢拓也と一緒に練習をさせる機会をつくって意識させ、大舞台でもぶれないメンタルが培われた。
19年大会は先発出場なし。その屈辱を胸に、不動の司令塔の位置をつかんだ。「2019年のベスト8以上いくことを掲げて4年間やってきたけど、まだまだいけると思う。次の4年後に向けていい準備をして、この壁を越えるためにやり続けたい」。27年大会では33歳。松田が挑戦の歩みを止めることはない。