ラグビー日本代表 次の4年へのステップアップには日本の独自性をどう出していくかが重要なポイント 伊藤鐘史氏の分析

 「ラグビー・W杯・1次リーグD組、日本代表27-39アルゼンチン代表」(8日、ナント)

 1次リーグ最終戦で、世界ランク12位の日本は同9位のアルゼンチンに敗れ、前回に続く8強入りはならなかった。日本は2勝2敗の勝ち点9で同組3位に終わり、アルゼンチンが3勝1敗の勝ち点14で同組2位となり1次リーグを突破した。2015年W杯イングランド大会日本代表で、リーグワン・三重ホンダヒートFWコーチの伊藤鐘史氏(42)が分析し、今後の展望を語った。

  ◇  ◇

 前半はイーブンで、後半はどちらも同じようなミスをした。互いに目立ったのは、キックオフレシーブでなかなかうまくいかず、敵陣に入れなかった。ただ、そこで大きくポイントを取れたのがアルゼンチン。レシーブのミスを、しっかりトライに結びつけたプレーが多かった。

 日本はレシーブをきっちりして、相手陣にいきたかった。中途半端なハイボールキックなどでただ上げるだけになり、自陣でディフェンスしてアドバンテージを与え、ダイナミックなアタックをされることが何度か続いた。エリア取りが難しかった。

 高速アタックをしているときは良かった。ディフェンスも良かった。ただ、相手をどんどん押し下げるディフェンスをすると、相手はスローダウンしてハイボールを上げてくる。そのキャッチがうまくいなかったので、切り返しのアタックまでつなげられなかった。

 アタックも、速いテンポが出ているときは外でトライも取れたが、相手が一枚上だった。シーソーゲームを制したところからみても、互いに同じようなチャンスの回数があった中で得点を重ねたのがアルゼンチン。決定力の差だ。

 イングランドやアルゼンチンとの差は、時間が進むにつれてのフィットネスレベルは同じか、日本の方が上回っていると思う。やはり一つ一つのコンタクトの強度、重みは改善の余地がある。スクラムも前半から良かったが、要所要所でペナルティーを取られている。そういう意味で、ラインアウトも含めて高い一貫性の維持を目指すべき。高い一貫性があると、その上に速いテンポのジャパンラグビーがあって、より効果的になる。

 1次リーグを突破できなかったが、大会前の状況を見るとW杯はどうなるかと思っていた。少し不本意な成績とは言え、イングランド、アルゼンチンという上位のチームに対して最後まで分からない試合ができた。日本のプライドをかけて戦った選手たちは素晴らしい。

 ただ、ベスト8、そして優勝を目指すステップを踏んでいくためには、日本の伝統としてハードワークをしてチームを強くしていく文化がある。そういう意味では今年は合宿期間も短かったと思う。どこの国よりも厳しい練習をしたと思うが、リーグワンのラグビー暦が変わったので、合宿開始の時期は強豪国と変わらなくなった。もう一度、日本の独自性をどう出していくかは、日本協会を含めて抜本的に考えていくことが、次の4年へのステップアップという意味で重要なポイントだと思う。

 例えば、以前のサンウルブズのように試合として経験させていくのか。それともエディー・ジャパンのときのように長い合宿を張るのか。何かしら、いろいろと形や方法はあると思うが、強豪国とは違った日本独自のやり方を作るべきだろう。

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