監督電撃解任の苦境乗り越え箱根切符 立大支えた1本の動画 OB増田さん「後輩に何かできれば」

 「箱根駅伝・予選会」(14日、陸上自衛隊立川駐屯地発、国営昭和記念公園着)

 史上最多の57校が参加し、第100会箱根駅伝(24年1月2、3日)の出場権13枠をかけたレースが行われた。立教大学は10時間37分06秒で6位。2年連続の箱根切符をつかんだ。

 順位発表後、原田昭夫代理監督は「整列しておじぎして取材を粛々と受けて帰ろうと思った。けど学生は本当に頑張ってくれた。喜びを爆発させてあげようと…。許してやって下さい」。言葉を何度も詰まらせ、号泣した。

 苦難を乗り越えた。前回大会で最長ブランクとなる55年ぶりの復活に導いた上野裕一郎前監督(38)が、女性部員と不倫したことがレース数日前に報道された。記事が出る前に選手全員を集めて、本人が謝罪。続報を含めネットには立大の名が何度も流れた。

 立ち上がったのは上野前監督就任と同時期に入学した増田駿さんら卒業生。「こういう状況。自分たちも先輩達に助けてもらった。僕たちも後輩に何かできれば」。OB約30人に声をかけ、10分以上にわたる励ましのビデオメッセージを作成した。社会人として多忙の中で合間をぬった撮影、スーツのままの撮影、帰宅途中暗い夜道を歩く中での撮影。後輩のために。OBが一致団結して動いた。

 選手の元に届けられたのは大会前日。原田代理監督にメールで送り、それがLINEグループで全選手に共有された。この日最速でゴールした関口絢太(けんた、4年)は「メッセージを1人1人からもらえた。励ましの言葉を。本当にみなさん個性が強かった」。優しさのあふれた動画に、取材中も思わず笑みがこぼれていた。

 本戦までに新監督を就任を立てるかどうかは未定。ただそれでも選手は前を向く。関口は「目標はシード権獲得。監督不在にはなるが、これからは4年生、幹部を中心に考えていきたい」。箱根路で江戸紫をつなぐ姿を見据えて語る姿は、心強かった。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス