大迫傑はまた5秒差の3位でパリ切符ならず スパート勝負で屈し、雨に打たれ立ち尽くす「なかなか勝ち切れない」残り1枠意欲「パリ目指したい」
「マラソングランドチャンピオンシップ」(15日、国立競技場発着)
24年パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、東京五輪6位入賞で、前日本記録保持者の大迫傑(32)=ナイキ=は2時間9分11秒で3位に終わり、上位2人に与えられる五輪切符はならなかった。2位の赤崎暁(九電工)には5秒及ばなかった。
川内優輝の大逃げの奇襲にも動じず、2位集団でじっくりと力を溜めると、30キロ過ぎに集団の先頭に立ち、ペースアップを促し、35キロで川内を吸収。悲願のマラソン初優勝も視野に入る展開だったが、38キロ過ぎからは小山直城(ホンダ)のスパートについていけず、最後の赤崎との2位争いからも遅れた。レース後はテントには入らず、雨に打たれ、タオルを肩にかけ、腰に手をやりながら、立ち尽くし、ゴールしていく後続の選手達の姿を見つめた。
レース後は「やっぱり難しいというか、なかなか勝ち切れない。勝とうとしたけど」と、もどかしそうに語り「前回同様に最後タフなレースになった。若手の力があって、一歩及ばず。ただ、ゴールできたのは、また次につながる。落ち着いてレース進められた。新しい自分のマラソンの形みえた。常に強くあるのは僕自身の強さ。それは証明できた」と、振り返った。
前回同様、最後のスパート勝負で敗れたが「すごい見える位置でというところで、頑張って動かしたが、追いきれず。そのあたりは非常に悔しい気持ちある」と悔やみつつ、最後の1枠取りに「また勝ち取って、パリ目指したい。しっかり休養をとってリカバリーしてからコーチと相談してファイナルチャレンジに出るかどうか決断したい」と、意欲をみせた。MGC3位で、MGCファイナルチャレンジで派遣記録(2時間5分50秒)を突破する選手がいなければ、大迫に代表権が渡る。待つのか、それでも自身で掴みにいくのか、決断を迫られることになる。
21年東京五輪代表の座を懸けた前回19年のMGCは3位で“一発内定”を逃した。最終的に五輪切符をつかみ本番で6位入賞を果たすが、その後一度現役引退。22年2月に現役復帰を発表した。
MGCを前の夏場に米アリゾナ州フラッグスタッフでの高地トレーニングを1人で敢行。「ほぼ3カ月間1人で対話した。誰かと競い合うこと、何か思っていることを走りで表現することが好きなんだと気付けた」と、振り返る。「ベストを尽くして、その結果、上位に食い込めたら。優勝できたら」と語っていたが、4年前のリベンジはならなかった。
◆マラソンのパリ五輪への道男女上位2人が代表に一発内定。もう1枠は今年12月から始まる「MGCファイナルチャレンジ」の対象レース(男子は福岡国際、大阪、東京、女子は大阪国際、名古屋ウィメンズ)で設定記録(男子は2時間5分50秒、女子は2時間21分41秒)を突破した記録最上位選手が内定する。該当選手がいない場合は、MGC3位が代表権を得る。