小山直城 新星輝いたパリ五輪切符 自己ベストは全体22位“伏兵”が“ヒーロー”に

 ガッツポーズしゴールする小山直城(撮影・吉澤敬太)
 38キロ付近を力走する小山(代表撮影)
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 「マラソングランドチャンピオンシップ」(15日、国立競技場発着)

 男子は小山直城(27)=ホンダ=が2時間8分57秒で優勝、赤崎暁(25)=九電工=が2時間9分6秒で2位となり、ともに初の五輪切符を獲得した。東京五輪6位で前日本記録保持者の大迫傑(32)=ナイキ=は2位と5秒差の3位で今大会での五輪代表内定を逃した。女子は鈴木優花(24)=第一生命=が2時間24分9秒で優勝し、初の五輪出場を決めた。東京五輪8位の一山麻緒(26)=資生堂=は2位に入り、2大会連続の出場。細田あい(27)=エディオン=が3位。

 遅咲きの27歳は、初の五輪切符を誇るように両手を広げてゴールした。雨天と川内の奇襲で荒れたレース。4人の先頭集団に潜んでいた小山は残り4キロでスパートし、一気に引き離した。残り2キロで「勝てたかなと思った」。自己ベストが全体22位だったダークホースは「あまり実感がない」と照れ笑いした。

 埼玉県日高市出身。高麗川中1年で陸上部に入って長距離を始めた。初の全国大会は埼玉・松山高3年時に挑んだ全国都道府県対抗男子駅伝。かつて同じホンダに所属した憧れの設楽悠太(現・西鉄)からたすきを受け、4区区間賞を獲得。埼玉の優勝にも貢献し、これが人生の「ターニングポイント」になったという。

 大学は「勉強も頑張りたかった」と文武両道を目指して東農大応用生物科学部醸造科学科に進学。酒やみそ、しょうゆ、菌類について学んだ。栄養にも詳しくなり、今大会前には乳酸菌を摂取して英気を養った。

 学生時代は「オリンピックは無理だと思っていた」。ホンダ入社後、19年MGCでは沿道から設楽を応援。五輪は遠い存在だったが、21年に1万メートルで好記録を出せたことが転機となった。「パリに出たい」と昨年の東京マラソンで初マラソン。その後経験を積み、この日はホンダの小川智監督が「非常にクレバー」と評するレース運びで優勝した。

 今後はレースに出場しながら五輪に備える方針。「憧れの舞台でしっかり結果を残したい」。一日にして“伏兵”から“ヒーロー”になった新星は、たくましく覚悟をにじませた。

 ◆小山直城(こやま・なおき)1996年5月12日生まれ。埼玉県出身。高麗川中1年で本格的に長距離を始める。埼玉・松山高3年時の全国都道府県対抗男子駅伝で4区区間賞。東農大2年時に箱根駅伝で関東学生連合の4区を走った。ホンダ入社後、21年に10000メートルで27分台を記録。全日本実業団対抗駅伝でも22年に3区、23年に4区を走り連覇に貢献。22年東京では初マラソンで2時間8分59秒。7月のゴールドコーストを2時間7分40秒の自己新で優勝。趣味は走ること。170センチ、55キロ。

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