鈴木優花 東京五輪代表3人撃破でパリ切符 同世代・田中希実の活躍を刺激にトラック→マラソン挑戦
「マラソングランドチャンピオンシップ」(15日、国立競技場発着)
女子は鈴木優花(24)=第一生命=が2時間24分9秒で優勝し、初の五輪出場を決めた。東京五輪8位の一山麻緒(26)=資生堂=は2位に入り、2大会連続の出場。細田あい(27)=エディオン=が3位。
雨の降りしきる国立競技場で笑みがはじけた。無名の鈴木優が自己ベストで東京五輪代表3人を撃破し、初の五輪切符を獲得。「挑戦者ということを忘れずにスタートを切ることができた。冷静に走りつつ、最後は大胆にレースができたかな」。人さし指を高く掲げ、喜びを爆発させた。
マラソンはこの日が3度目。経験不足を「冷静かつ大胆」なレースプランで補った。20キロ通過まで第1集団後方で足をため、一山と細田が飛び出しても慌てない。「ゴールまで距離がある。自分のリズムで押せば追いつく」。丁寧にピッチを刻み、38・5キロで先頭の一山を捉えると、残り5キロでさらにギアを上げ、駆け抜けた。
中距離界のエース・田中希実と同世代。大学時代はトラック競技を中心に走っていたが、けがに悩まされ、東京五輪は夢舞台に終わった。同五輪はテレビで観戦。すると画面の中で田中が世界の強敵と渡り合っていた。
「自分はまだまだ低い位置にいる」。ライバルの活躍に刺激を受けた鈴木優は大学卒業直前の22年3月にマラソンに初挑戦し、学生新記録を樹立した。元々全日本大学女子駅伝で1年時から3年連続区間賞獲得とロード適性はあったが、その才能が一気に開花した。
それから1年半でつかんだ五輪切符。「ここはスタートラインに過ぎない。1年間準備をして、ワクワクする気持ちを持って挑んでいきたい」。ニューヒロインが来夏のパリ五輪を見据えた。(谷 凌弥)
◆鈴木優花(すずき・ゆうか)1999年9月14日生まれ。秋田県出身。中学まではバスケットボール部で、高校から本格的に陸上を始めた。19年に大東大に進学。富士山女子駅伝では1年時に7区で区間新。全日本大学女子駅伝では1年から3年連続で区間賞を獲得。2年時はユニバーシアードのハーフマラソンで金メダル。初マラソンとなった22年3月の名古屋ウィメンズで学生新記録を樹立。22年春から第一生命に所属。身長は161センチ。