クリケット “野球の原型”が五輪復活 元広島・木村昇吾、プロからの転向歓迎 「簡単ではない」
国際オリンピック委員会(IOC)は16日、インドのムンバイで総会を開き、2028年ロサンゼルス五輪の追加競技として大会組織委員会から提案された野球・ソフトボール、フラッグフットボール、クリケット、ラクロス、スカッシュの5競技を一括承認した。21年東京五輪で日本がともに金メダルを獲得した野球とソフトボールは2大会ぶりの復帰となる。クリケットは128年ぶり、ラクロスは120年ぶりの復帰。アメリカンフットボールから接触プレーをなくしたフラッグフットボール、スカッシュは初実施となる。追加の団体競技はいずれも男女各6チームの予定。
“野球の原型”クリケットの五輪復活が決まった。吉報を受け、日本クリケット協会は「五輪で多くの人にクリケット界の扉が開かれることを期待している」と歓喜。プロ野球の広島などで15年間プレーした日本代表の木村昇吾(43)は「注目されて厳しい目や声が向くと思う。それを力に変えて、出場できるようにみんなで頑張りたい」と意気込んだ。
プロ野球からの転向も大歓迎だ。自身は17年に戦力外通告を受け、クリケットに転身。海外での武者修行を重ねて、日の丸を背負うまでに成長した。「プロ野球選手だからといって簡単ではない」と厳しさを強調した上で「クリケットに来るのは歓迎するし、レベルも一気に上がる」と期待。「NPB、高校、大学、けがで引退した人が来てくれれば世界が取れる」と共闘を呼びかけた。
自身は28年に48歳を迎えるが「選手として出場しに行くのは当然」ときっぱり。「28年は転向してから10年目になる。いい節目」。第二の人生を歩むアスリートとして五輪を見据えた。
◆クリケット 野球の原型と言われ、インドなど英連邦諸国で人気が高い。1チーム11人。投じられた球を打撃面が平たいバットで打ち、得点を競う。ファンは25億人を超え、トップ選手の年収は30億円を超えるとされる。国内の競技人口は2019年時点で約4千人。1900年パリ五輪は2チームで争った。1試合に5日間かける大会もあるが、五輪は約3時間で終わる形式。