混乱と怒号で騒然…試合途中に柔道着違反で反則?一転取り消しに 斉藤立擁する国士舘大ヒヤリ4強 5年前は誤審で主審降格も
「柔道・全日本学生体重別団体優勝大会」(22日、ベイコム総合体育館)
体重別7人制の団体戦で争われた。男子準々決勝で、パリ五輪100キロ超級代表の斉藤立(4年)を擁する国士舘大は、前回3位の日体大に3-2で競り勝った。第3試合の73キロ級の試合では、田中裕大(4年)が試合途中に柔道着の規定違反であわや反則負けとなる異例の場面があったが、審判団の協議により覆り、柔道着を着替えて再開。結果的に田中は敗れたものの、続く斉藤ら仲間が取り返した。準決勝では筑波大に1-2で敗れ4強で散った。
前代未聞の光景に、場内は混乱と怒号で騒然となった。試合時間2分30秒が経過したところで、田中の柔道着の袖口の幅が規定違反であると審判が判断し、その場で反則負けを宣告。勝ち名乗りを受けた相手は礼をして畳を降りたが、国士舘サイドは抗議し、田中も納得できずに畳の上で両手を広げて立ち尽くした。
通例であれば試合前に柔道着チェックを行い、違反であれば着替えることもあるだけに、畳に上がってから、しかも試合途中での規定違反判定は異例中の異例の出来事。各チームが威信を懸けて日本一を争う大一番だけに、スタンドからも「おかしいよ」「なんで?」などと怒号が飛び交う異様な雰囲気となった。
しかも、会場には袖口の幅を測る測定器がなく、厳密に規定違反だという確認もできなかった。約10分間の中断を経て審判団が協議を重ねた結果、大会委員長から場内アナウンスが行われ、反則判定を覆し、田中が適格な柔道着に着替えて試合再開することが発表された。
5年前の国士舘大-日体大戦でも勝敗に影響する誤審が発生し、後に審判が降格処分となる前例もあった。今回は反則が覆り、結果的に田中は指導3つによる反則負けとなったが、続く中堅の斉藤がしっかり一本勝ちで取り返すと、後続もリードを守り切って接戦をものにした。勝ち名乗りの際、田中は自責の念で1人涙したが、斉藤が背中を押して気持ちを切り替えていた。
◆同大会を巡る誤審VTR 18年10月に行われた全日本学生体重別団体優勝大会の男子準決勝、日体大-国士舘大の中堅戦。国士舘大の選手が寝技で抑え込みに入ったものの、主審は見逃し「待て」を宣告した。本来なら「技あり」が入る10秒を過ぎていたが、ポイントは入らず引き分け。この結果が響き、国士舘大は代表戦で敗退した。その後、全柔連は誤審を認め、当該の主審を事実上の降格処分とした。