日大アメフト部に処分 関東学連が部の対応に憤り「かなりお粗末」規律委が調査報告、「立件困難」誤認広めた顧問の過失を指摘
関東学生アメリカンフットボール連盟は8日、オンラインで臨時理事会を開き、部員2人が大麻取締法違反の疑いなどで逮捕された日大アメリカンフットボール部を今季の出場資格の停止ならびに、1部TOP8から来季1部BIG8への降格を発表した。また、罰則規定に基づき、同部への戒告処分も決定。オンラインで会見した廣田慶理事長は「日大アメフト部の一連の薬物の問題、対応について誠に残念に感じている。当連盟の責任者として甚だ遺憾に感じている」と語った。
また、関東学連が独自に設置していた規律委員会による18ページに及ぶ調査報告書も発表した。日大アメフト部としての大きな過失として、部員による違法薬物使用の疑いを把握した後、部の顧問が所轄の警察署に相談したものの「立件が困難で警察は動くことができない」との誤った認識を他の執行部にも共有し、対応を遅らせたと厳しく指摘。同顧問が監督の人選にも関わるほどの権限を持っていたとした上で、「権限や責任をきちんと自覚することなく、軽率かつ無責任な発言によって日大アメフト部の指導陣の対応方針を不適切な方向に向かわせてしまった。組織としての過失責任は小さくない」と報告している。
規律委員長を務めた大塚幸太郎監事は、一連の対応について「かなりお粗末なこと。多くの学生を預かるクラブの指導者の対応としては過失があったのではないか」と断罪した。
規律委員会は、日大アメフト部の指導者6人と日大競技スポーツ部長の計7人を聴取した上で、組織としての過失を結論づけたが、逮捕された部員などへの聴取は、日大側が捜査中との理由でできなかったという。報告書では「大麻等の違法薬物を使用した可能性があると考えられる部員3名及び卒業生と思われる元部員5名の合計8名から事情聴取を実施すべきと考え、日大アメフト部に対し、これらの者の事情聴取実施の調整を要請した。しかし、日大側の協力は得られず、これらの部員及び元部員からの事情聴取を実施していない」と記述。ただ、規律委は捜査機関ではないことから、チームへの罰則を与えることで一定の結論としたという。
関東学連としては、1人目の逮捕者が出た8月に今季出場資格停止を課したが、廣田理事長は「当面の間の資格停止で、われわれとしては復帰する余地を残す措置をさせていただいて、(日大が)原因究明や再発防止策などをクリアするのを待っていた」と振り返った。温情をかけた形だったが、結局は大学側の対応が遅れたことで今季は全試合出場できないことが確定。来季の復帰を期待し、「他の部も対岸の火事に感じてほしくない。日大には全容解明と原因の追及、再発防止策の策定に全力を尽くしてもらいたい」と力を込めた。