霧島 今年60勝目で年間最多勝争い首位浮上 25日に熱海富士と2敗対決 師匠ご当地で大関初Vへ

 「大相撲九州場所・13日目」(24日、福岡国際センター)

 大関霧島が関脇大栄翔をはたき込んで2敗を守った。年間最多勝争いでも大栄翔をかわして単独トップに浮上。来年定年を迎える師匠の陸奥親方(元大関霧島)にとって最後の地元九州場所で、恩返しの大関初Vへひた走る。初優勝を目指す平幕熱海富士も、高安を押し出して2敗をキープ。関脇琴ノ若と平幕一山本は4敗目を喫した。優勝争いは2敗の2人にしぼられ、14日目は直接対決が組まれた。

 まさに大関の相撲だった。立ち合いで踏み込んだ霧島は、大栄翔の突っ張りをキッチリあてがって下がらない。たまらず相手がバランスを崩したところを、力強くはたいて両手をつかせた。

 初優勝した春場所の本割や決定戦など、勝った相撲も土俵際まで攻め込まれていた難敵に完勝。初Vから大関昇進を果たした飛躍の年の成長を証明する内容だった。「落ち着いていた。自分の形で相撲がとれた」と淡々と振り返る姿に貫禄が漂った。この白星で今年60勝目。「もらったら間違いなくうれしいし、自信がつく」と話していた年間最多勝争いでも大栄翔をかわして首位に立ち「よかった」とうなずいた。

 来年4月に陸奥親方が定年。鹿児島県霧島市出身の師匠にとって最後の九州場所となる。しこ名を継承した霧島も「親方の地元の人からいろんな思いをいただいている」と、期待はひしひしと感じている。11日目からは師匠も現役時代からサポートを受けてきた「霧島酒造」の化粧まわしで土俵入り。「頑張る姿を見せれば親方も喜んでくれる。自分がやるしかない。それが恩返し」と思いは強い。

 この日の朝稽古では、陸奥親方が霧島と四つに組む体勢をとって助言する場面もあった。「こんなに強くなったんだなと」。師匠は弟子の成長を肌で実感し「若ければ稽古したかった」とうれしそうに笑っていた。

 14日目は熱海富士との大一番。霧島は「自分の相撲をいつも通りとるしかないので」と静かに闘志を燃やした。最高の1年を締めくくる大関初Vを、九州の地で師匠にプレゼントする。

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