パリ五輪切符へ黄信号…伊藤美誠が涙、最後まで国内選考会方式に苦しむ「ボロボロになっていく自分がいた」
「卓球・全農カップ大阪大会」(25日、Asueアリーナ大阪)
第6回パリ五輪代表選考会として開かれた。女子5-8位決定戦で、五輪代表争い3番手の伊藤美誠(23)=スターツ=が、同2番手の平野美宇(23)=木下グループ=に0-4のストレート負け。7-8位決定戦に回り、5-6位決定戦に進んだ平野との差を広げられ、五輪切符へは“黄信号”。最終選考対象となる来年1月の全日本選手権(東京体育館)を残し、崖っぷちに立たされた。
ともに準々決勝で敗れ、まさかの順位決定戦で実現した注目の“みうみま対決”だったが、逆転五輪を狙う伊藤は玉砕した。序盤から精彩を欠き、平野の気迫に押される形でストレート負け。準々決勝までの2試合分の疲労が残っていたといい、「(平野戦は)勝たないといけないところだったが、(自身の状態的に)本当にやりたくなくて、本当につらかった。勝つのが大事だったが、体もしんどいし、頭も疲れ切った状態。頑張りたいけど頑張れないのが1番苦しかった」と、目に涙を浮かべながら苦境を吐露した。
3種目でメダルを獲得した21年夏の東京五輪後、パリ五輪に向けては日本協会が国内選考会を中心にした新しい代表選考システムを採用したが、従来の世界ランキング方式に合わせてきた伊藤は最後まで適応に苦しんだ。2年間で計6回の選考会、2度のTリーグ個人戦、全日本選手権など、基礎技術が高い日本選手と繰り返し当たることで、トリッキーな伊藤の長所は封殺。さらに、選考ポイント対象となったTリーグにも参戦するなど、国内での戦いにパラダイムシフトせざるを得なかった。
コロナ禍を経て再開した海外ツアーや国際大会もこなしながら、スタイルを模索して国内選考会への準備も注力せざるを得ず、今春には腰部の故障にも苦しんだ。「私自身は、選考会で成長できる部分もあったが、選考会でボロボロになる自分もいて、つらい、苦しいの方が強かった。何とか乗り越えて、前回(7月の全農カップ赤羽大会)は2位だったり、いろいろな思いをした。80~90%はやられた気がするが、最後の試合(平野戦)がこれだったのもあって。やっぱり、(第1回選考会の)最初から頑張ってきた早田選手とか、(ずっと)1位でいられることが大事」と、この2年を振り返った。
五輪シングルス代表は2枠。3番手の伊藤は平野を24・5点差で追っていたが、直接対決を落とし、窮地に立たされた。それでも、最後の選考対象大会となる来年1月の全日本選手権に大逆転の望みをかける。
◆パリ五輪代表選考ポイント女子上位6人(11月24日時点、日本協会発表)
(1)早田ひな=700・5点
(2)平野美宇=436点
(3)伊藤美誠=411・5点
(4)木原美悠=274点
(5)佐藤瞳=232点
(6)張本美和=230・5点
※今大会の獲得ポイント…1位=100点、2位=90点、3位=80点、4位=70点、5位=60点、6位=50点、7位=40点、8位=30点、ベスト16=20点