「フィギュアスケート・ＮＨＫ杯」（２５日、東和薬品ラクダブドーム）

　男子フリーが行われ、ショートプログラム（ＳＰ）２位で、世界選手権２連覇中の宇野昌磨（トヨタ自動車）はフリー１位の１８６・３５点、合計２８６・５５点でともに今季自己ベストを出して総合２位。ＧＰファイナル（１２月、北京）への出場を決めた。１・８４点差で優勝した鍵山優真（オリエンタルバイオ・中京大）に及ばなかった。

　フリーでは３種類４本の４回転ジャンプを入れたが、冒頭の４回転ループ、４回転フリップ、４回転－３回転の連続トーループ、４回転－２回転の連続トーループと３種類４本の４回転がすべて「ｑ」（４分の１回転の不足）と判定された。大きな出来栄え点（ＧＯＥ）につながらなかったことから「優真君（鍵山）のようにきっちり降りるジャンプを跳ばなければ、回転不足を毎回とられるなら、僕が今から改善することは難しい。競技から退くのも全然あるなという試合でした」と、引退に言及した。

　「いい演技だったと思う」と自身は納得していた様子。それだけに「これ以上はないなと思わされる試合だった。気持ちを言うなら、試合に出る意味をちょっと揺るがされる試合だった」と、複雑な思いを吐露した。「これ以上のジャンプはない」とした上で「表現を頑張りたい」と前を向いた２５歳は、務めて冷静に「本当に優真君の演技は素晴らしかった。僕が何かを言うことで水を指したくない。彼に質問や賛辞をあげてほしい」と覇者をたたえていた。