霧島 V2王手!2敗対決で熱海富士に落ち着き払って完勝「かわいいですよね」 61勝目で年間最多勝確定
「大相撲九州場所・14日目」(25日、福岡国際センター)
大関霧島が平幕熱海富士を寄り切って2敗対決を制し、単独トップに立った。千秋楽の貴景勝戦に勝てば、4場所ぶり2回目の優勝が決まる。熱海富士は3敗に後退し、自力での初優勝は消滅。千秋楽は2場所ぶりの2桁勝利となる10勝目を挙げた関脇琴ノ若と対戦する。関脇大栄翔は大関貴景勝を破って9勝目を挙げた。
冷静沈着な大関が、珍しく感情をあらわにした。「よしっ!!」。支度部屋に入るなり、霧島が声を響かせた。優勝に王手をかける大きな白星。息を弾ませながら、その重みをかみしめた。
注目の立ち合い。熱海富士に一度つっかけられた。いきり立つ21歳とは対照的に、落ち着き払っていた。「目を合わせなかったので、緊張していると思った」。相手の胸の内を見透かして立って右を差し込むと、上手がとれない左は絶妙なタイミングで巻き替え。付け入る隙を与えず、そのまま寄り切った。
初顔との大一番。完全に相手を見下ろしていた。この日の朝稽古後、熱海富士の印象を問われると「かわいいですよね。見ていたら面白い」と笑顔。余裕をにじませた。一方で、稽古量が互いに豊富と聞くと「じゃあ、今日はどっちが稽古したかって感じですか」とギロリ。譲れぬプライドものぞかせていた。
平幕に賜杯をさらわれるわけにはいかないという大関の意地。「それもあるし、何より勝ちにいったんじゃなく、勝負にいった」と、自分の相撲で凌駕することにこだわった。今年61勝目で年間最多勝も確定させ、2023年も残すはあと一番。「変わらずに自分のペースでいきたい」。冷静沈着に最後を締め、喜びの美酒に酔う。
◆幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)「霧島が強かった。落ち着いていたね。負けたらという気負いがなかった。強引なところがない。完勝でしょう」