日本大学アメフト廃部 違法薬物事件逮捕者相次ぎ厳正処分 V21の名門不祥事連鎖の果て、83年の歴史に幕

 日本大は29日、違法薬物事件で部員に逮捕者が相次いでいるアメリカンフットボール部を廃部にする方針を明らかにした。伝統のフェニックスが創部から83年の歴史に幕を閉じることになる。同日に開催された臨時理事会では、酒井健夫学長が来年3月31日付で、沢田康広副学長が今年12月31日付で辞任することが決定。林真理子理事長を減給50%(6カ月)とする処分も決まった。関東学生リーグ1部上位の今季の全試合で出場停止となり、来季は1部下位への降格が決まったばかりだった。

 光と影が交錯した83年の歴史に終止符が打たれることになった。日大はアメリカンフットボール部の廃部方針を固めた。大学日本一を決める甲子園ボウルを21度も制した伝統のフェニックスも近年は不祥事続き。18年の「悪質タックル問題」で信頼を失墜させ、違法薬物事件で3人の逮捕者を出した。日大でアメフト部は「看板であり、広告塔」(元幹部職員)だった。その半面「スポーツが強いことが正義で、学内で力を持ち過ぎた」と言うように副作用もあった。

 第三者委員会の報告書によると、昨年10~12月、保護者などから大麻使用情報がもたらされ部員も使用を申告していたが、指導陣が警察に相談するなどの適切な処置を講じなかった。初動のまずさに、大学幹部のお粗末な対応が重なった。日大への風当たりが強まる中で、逮捕者は複数人になるなど厳正に対処する必要性に迫られていった。

 文部科学省への再発防止策の提出は11月いっぱい。理事の1人は「ほとんどの部員は大麻と無関係で、真面目にやっている部員がかわいそうだ」と、薬物を使用した部員や監督責任がある中村敏英監督の処分にとどめたい考えだったという。廃部という大きな決断が下された翌日。林真理子理事長は午後8時40分過ぎ、黒塗りの車で都内の日大本部を後にした。

 日大アメフト部OBは「近年の不祥事の多くはアメフト絡み。存続は世間の理解が得られず、廃部も仕方がない」と冷静に受け止める。一方で外部では廃部に否定的な声が上がっており、その温度差から物議を醸す可能性もある。

 さらに日大では、来春にも新入生のみのアメフト同好会として活動再開する青写真を描く幹部もいる。その後、関東大学リーグの下部から上位へと昇格する算段という。別の日大関係者も「OBが結集してバックアップすれば、甲子園ボウルにも行ける」と言うものの、その場しのぎの廃部なら「骨抜き」との批判は免れない。

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