崖っぷちウルフ・アロン、逆転パリ切符へ決意「どんな方法でもいいから勝つ」最終選考会GS東京へ最終調整「最後の五輪」

 黙々と四股を踏むウルフ・アロン(撮影・吉澤敬太)
 黙々と打ち込みを行うウルフ・アロン(右)=撮影・吉澤敬太
 井上康生強化副委員長(左)と話すウルフ・アロン(撮影・吉澤敬太)
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 柔道男子100キロ級で東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27)=パーク24=が1日、都内で取材に応じた。2日開幕のグランドスラム東京大会(東京体育館)の最終調整を公開し、「仕上がりとしては今までの中でかなりいい」と手応えを強調。24年パリ五輪代表へ崖っぷちの立場だが、現時点で最終選考会となる今大会で優勝すれば逆転の可能性も残るだけに「次の五輪は自分自身が目指す最後の五輪と決めている。ここを最後にしっかり勝ち取るっていうのが、柔道人生の最後の目標。そこに向かってやっていく気持ちはブレないようにやっていきたい」と決意を込めた。

 21年夏の東京五輪で一躍大出世を遂げた金メダリストだが、五輪連覇を目指し再出発した2年間は苦しんだ。1年以上の実戦ブランクを経て、最初は減量を含めたコンディショニングに苦戦。また、試合勘のブランクやルール変更により相手の組み際の素早い攻撃に対応しきれず、早々に指導をもらって敗退する試合が目立ち、22年以降は国際大会での優勝がない。

 今は形にこだわれずに先手を取る柔道を意識しているといい、「(今までは)きれいな柔道をしてしまった節がある。(今は)相手を投げることを考えるより、どんな方法でもいいから勝ちにいく。今のルールだと(組み手が)片手でも、攻めた方が指導を取れて勝てるように変わってきている。それを自分自身がうまく使っていかなきゃいけないと感じた」と明かした。

 現在100キロ級の代表争いはライバルの飯田健太郎(25)=旭化成=が1番手だが、世界選手権で2年連続早期敗退など成績が振るわず。他階級で五輪代表が内定する中でも決め手を欠き、最終選考会までもつれこんだ。

 ウルフも窮地に追い込まれているが、ワイルドな髭で覆われたその表情に悲壮感はない。「本来なら僕自身、結果を残していない時期が続いていて、もっと早い段階で(他の選手に)代表が決まったところなので、逆に今の状況(混戦)をプラスに捉えることが大事。ここで(まだ)勝ち切るチャンスがあると前向きに考えていきたい」とうなずいた。

 100キロ級は3日に実施される。

 ◆東京五輪以降のウルフの大会成績

 ・22年10月、講道館杯全日本体重別選手権=3位

 ・22年12月、グランドスラム東京大会=2回戦敗退

 ・22年12月、ワールドマスターズ大会=1回戦敗退

 ・23年4月、全日本選抜体重別選手権=優勝

 ・23年6月、グランドスラム・ウランバートル大会=3位

 ・23年8月、ワールドマスターズ大会=2回戦敗退

 ・23年9月、杭州アジア大会=5位

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