ウルフ・アロン7位でパリ五輪代表が極めて厳しく「柔道人生見つめ直す」東京五輪以降は低迷「苦しい2年だった」
「柔道・グランドスラム東京大会」(3日、東京体育館)
24年パリ五輪代表選考を兼ねて男子100キロ級が行われ、東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27)=パーク24=は、準々決勝でピレッリ(イタリア)に延長戦で指導3つによる反則負けを喫した。直後の敗者復活戦でもコレル(オランダ)に一本負けし、7位。パリ五輪代表はこの日、全試合終了後に行われる強化委員会で決まる見込みだが、極めて厳しい立場となり「(五輪への視界は)ボヤッとしている感じ。僕が(パリに)出られる状況でもないので、(会議で)どうなるかわからないが、どういう柔道人生を歩んでいくか見つめ直して次に向けてやっていきたい」と語った。
微妙なジャッジで沈んだ。ウルフは昨年のGS東京初戦で敗れた“くせ者”ピレッリとの雪辱戦に臨んだが、前回同様、掛け逃げ気味に担ぎ技で組み際をつぶしてくる相手に苦戦。ウルフも素早い技出しで応戦して挽回しかけたが、7分過ぎに3つ目の指導を食らい、後味の悪い負けを喫した。直後の敗者復活戦でも一本負けで玉砕。「(準々決勝は)去年よりはうまく試合を運べたが、スタミナを練習してきていれば(最後の場面で)もう1つ2つ、技が出ていたのでは」と唇をかんだ。
パリ五輪切符へ崖っぷちの立場で臨んだ今大会。初戦はジョージア選手に支え釣り込み足で一本勝ちし、2回戦は22年世界選手権銀メダルのレイズ・カヨル(カナダ)に優勢勝ち。3回戦も韓国選手に合わせ技で一本勝ちするなど本来の勝負強さを見せていた。大出世を遂げた東京五輪以降、国際大会では頂点に立てず、「うまく試合で勝つことができず、もどかしい気持ちだったり、苦しい気持ちがいっぱいあった。苦しい2年間だった」と吐露した。
ただ、最終選考会と位置づけられた今大会、ライバルの飯田健太郎(25)=旭化成=は2回戦で敗退。植岡虎太郎(日本製鉄)も3回戦で姿を消したことで、代表争いは混迷を極めている。一方で、シニアでの実績はない世界ジュニア王者の新井道大(18)=東海大=が世界王者アダミアンを破るなど快進撃を見せ、準決勝に進出。強化委員会は難しい判断を迫られる。
◆東京五輪以降のウルフの大会成績・22年10月、講道館杯全日本体重別選手権=3位
・22年12月、グランドスラム東京大会=2回戦(※初戦)敗退
・22年12月、ワールドマスターズ大会=1回戦敗退
・23年4月、全日本選抜体重別選手権=優勝
・23年6月、グランドスラム・ウランバートル大会=3位
・23年8月、ワールドマスターズ大会=2回戦敗退
・23年9月、杭州アジア大会=5位
・23年12月、グランドスラム東京大会=7位