ウルフ痛恨7位も残った 五輪代表選考、男子100キロ級は異例の持ち越し

 「柔道・グランドスラム東京大会」(3日、東京体育館)

 パリ五輪代表が決まっていない4階級は最終選考会を兼ねて行われたが、男子100キロ級は異例の持ち越しとなった。東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27)=パーク24=は7位に沈み、飯田健太郎(旭化成)も2回戦敗退。世界ジュニア王者・新井道大(18)=東海大=の2位が最高で、大会後の強化委員会では来春の国際大会まで判断を伸ばすことを決めた。女子63キロ級は高市未来(コマツ)が優勝し、3大会連続の五輪切符。同78キロ級は3位に入った高山莉加(三井住友海上)が初の五輪を決めた。

 崖っぷちの五輪王者が“徳俵”で生き残った。ウルフは準々決勝で反則負けを喫し、直後の敗者復活戦も一本負け。無念の7位に沈み「(五輪への視界は)ボヤッとしている。僕が(パリに)出られる状況でもないので、どういう柔道人生を歩んでいくか見つめ直したい」と肩を落とした。

 ただ、1番手候補だった飯田も2回戦で姿を消す惨状で、首脳陣は頭を抱えた。18歳の超新星、新井が世界王者に一本勝ちして準優勝する快進撃を見せたが、国際舞台での経験は浅く未知数。現時点での世界ランクでは誰も五輪出場圏内に届いていない窮状で、日本男子の鈴木桂治監督は来春の欧州大会まで判断を先延ばしすることを表明し「限られた大会で、ポイントを取れる選手を選んでいきたい」と苦渋の決断の真意を述べた。

 パリ五輪に向けて、代表を早期に決める強化方針を掲げた全柔連にとって想定外の事態となったが、ウルフにとっては千載一遇の延長戦ロスタイム。死に体だった五輪連覇への道は首の皮一枚つながった。

 ◆柔道のパリ五輪代表選考 全日本柔道連盟は国内外の大会実績などを総合的に勘案し、2番手以下と明らかな差がついたと判断した選手について強化委員会で審議。3分の2以上の委員が出席し、過半数の賛成で代表に内定する。男女で6月に計4人、8月には計6人が決まった。残る男女各2階級はグランドスラム東京大会の結果を受けて協議。内定後に世界ランキング17位以内から漏れて五輪出場権を得られなかった場合は、代表を撤回または交代できる。

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