柔道 崖っぷちウルフ・アロン「自分の全て懸ける」パリ五輪代表争い“延長”で悲壮決意「チャンスにしがみつく」18歳と一騎討ちへ
柔道男子100キロ級で東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27)=パーク24=が6日、東京・講道館で行われた国際合宿に参加し、取材に応じた。24年パリ五輪代表の最終選考会と位置づけられた3日のグランドスラム(GS)東京大会で7位に沈んだが、同階級の選考が来春まで先延ばしになったことで生き残った。依然崖っぷちの立場だが、「まだチャンスがあることにしがみついて、次の大会で結果を残したい。残りの期間、自分自身の柔道の全てを懸けて練習していきたい」と悲壮な覚悟を明かした。
五輪連覇への道はいったん途絶えかけたが、首の皮一枚つながった。ウルフはGS東京大会で7位に沈んだものの、ライバルだった飯田健太郎(旭化成)も2回戦で敗退するなど選考状況は混迷。現時点で五輪出場圏内の世界ランク17位に日本勢は誰も入れていない惨状で、全日本柔道連盟(全柔連)はこのタイミングでの代表決定を見送った。
異例の事態となった一方で、GS大会初出場となった世界ジュニア王者の新井道大(18)=東海大=が、世界王者に一本勝ちするなど2位に入る快進撃で、パリ五輪代表候補筆頭に急浮上。首脳陣はウルフと新井を来春の欧州でのGS大会に派遣し、最後まで競わせる方針を決めた。
一度は消えかけたチャンスを再びつかんだウルフは「(この状況は)自分が結果を残せなかったのが全て。(GS東京で敗れ)少し気持ちが切れそうなところもあったが、チャンスがつながったことでモチベーションも維持できている。練習にも身が入っている」と話した通り、大会から間髪入れずに国際合宿に参加し、この日も東京五輪90キロ級金メダルのベカウリ(ジョージア)ら海外勢と精力的に組み合った。
パリ五輪代表争いは18歳の超新星との一騎討ちとなるが、「気を引き締めて出し尽くしたい。まだまだオリンピックに入れる機会があるってことなので、このチャンスに甘えるんじゃなく、次の大会で結果を残したい」と力を込めた。