１７日にうっ血性心不全のため６０歳で死去した大相撲の元関脇寺尾の錣山親方（本名福薗好文さん＝ふくぞの・よしふみ）の告別式が２３日、東京都江東区の錣山部屋で行われた。陸奥親方（元大関霧島）、大関霧島ら日本相撲協会関係者、元プロレスラーの高田延彦ら約４００人が参列した。

　錣山親方と約４０年前から親交があった高田は、妻で女優の向井亜紀とともに参列。「まだしっくりこないというか受け止められない」と悲痛な心境を吐露。ここ１０年ほどは連絡をとっていなかったといい「しようしようと思っていたのに、アクションを起こせなかったのが悔しい」と悔やんだ。

　２０歳頃に知り合い、同学年ということもあって初対面ですぐに意気投合。「アビちゃんは無垢（むく）な少年が大きくなったみたい。一緒に飲んでバカばっかりやっていた。それが楽しくて」と振り返った。酔った勢いで「３割ぐらいの力で突っ張りをしてほしい」と頼むと「１０メートルぐらい吹っ飛んだ」。本当に３割の力だったか尋ねると「大したことないって思われたくないから、１２０％でやった」と笑って打ち明けられたという。

　夫妻が結婚できたのも「寺尾関のおかげ」と向井。両親はプロレスラーとの結婚に大反対だったが、大ファンの寺尾と高田が懇意にしていることを聞くと、結婚にすぐＯＫが出たという。向井は「楽しい思い出ばっかり」と懐かしんだ。

　現役時代は、小兵で真っ向勝負する錣山親方の姿に刺激を受けたという高田。「あれを見るたびに画面越しに勇気をもらって、テレビの前で腕立て伏せをしていた」と思い出は尽きない。早すぎる友との別れ。「時を１０年ぐらい巻き戻して、会ってなかった時間を埋めたかった。その間“大人のバカ”をやり続けたかった。悔いが残ってます」と無念さを募らせた。