五輪王者が猛抗議で騒然…レスリング乙黒拓斗、映像判定で逆転負けし激高 パリ五輪は絶望的に

 「レスリング・全日本選手権」(23日、代々木第二体育館)

 男子フリースタイル65キロ級はパリ五輪アジア予選の代表選考会を兼ねて行われ、東京五輪金メダルの乙黒拓斗(25)=自衛隊=は準決勝で清岡幸太郎(日体大)に6-6の内容差で優勢負けした。残り1秒で2点を加点し、8-6とリードして試合が終了したかに思われたが、相手のリクエストによる映像検証の結果、勝敗が逆転。納得できない乙黒は審判席に詰め寄って猛抗議したものの覆らず、これで五輪連覇への道は絶望的となった。

 歓喜に沸く相手陣営、そして五輪王者の猛抗議に場内は騒然となった。

 乙黒は痛めている右足の影響からか出足が鈍く、第1ピリオドを2-4とリードされて折り返すと、第2ピリオドはギアを上げて盛り返したが、悪夢は最終盤に待っていた。

 劣勢のまま残り1分を切り、39秒で起死回生のがぶり返しで4-4の同点(ラストポイントで優勢)。さらに目まぐるしい攻防で8-5としたが、相手チャレンジで映像確認した結果、6-6(ラストポイントで劣勢)の同点に。後がなくなった五輪王者は執念を燃やし、残り1秒でグラウンドから相手を回転させて8-6と逆転し、終了ブザーが鳴った。しかし、ここで相手がさらなるチャレンジを要求して映像確認をした結果、乙黒の技で相手がデンジャーポジションになっていなかったとしてノーポイント判定。乙黒は激昂し審判席の方に詰め寄ったが、イエローカードをもらって万事休した。

 21年8月の東京五輪では22歳で金メダルを獲得。ただ、その後は右足甲のけがにも悩まされた。パリ五輪切符が懸かる9月の世界選手権(ベオグラード)に出場したものの、五輪出場枠を得られる5位以内に入れず、五輪予選への出場を懸けた今大会からリスタートとなっていた。

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