レスリング東京五輪王者4人がパリ消滅…川井友香子&乙黒拓斗も敗退 連覇挑戦は須崎優衣のみ、わずか2年で著しい世代交代
「レスリング・全日本選手権」(23日、代々木第二体育館)
男子フリースタイル65キロ級はパリ五輪アジア予選の代表選考会を兼ねて行われ、東京五輪金メダルの乙黒拓斗(25)=自衛隊=は準決勝で清岡幸太郎(日体大)に6-6の内容差で敗れた。五輪代表が懸かった女子68キロ級は、東京五輪62キロ級金メダルの川井友香子(26)=サントリー=が準々決勝で敗退。ともに来夏のパリ五輪が消滅した。これで東京五輪の金メダリスト5人のうち4人がパリ五輪切符を逃す結果となり、連覇に挑戦できるのは女子50キロ級の須崎優衣(24)=キッツ=のみとなった。
乙黒のパリ五輪への道は衝撃的な形で途切れた。痛めている右足甲の影響からか出足が鈍く、前半を2-4とリードされて折り返すと、6-6(ラストポイントで劣勢)で迎えた最終盤、残り1秒にグラウンドから相手を反転させて8-6と逆転。試合終了のブザーが鳴ったが、相手のチャレンジによる映像検証の結果、ノーポイント判定となり勝敗が覆った。乙黒は激高し、審判席の方に詰め寄って猛抗議したが、イエローカードをもらって万事休した。
女子で唯一パリ五輪代表が決まっていない68キロ級は、さまざまな階級の世界選手権メダル経験者6人が一堂に会する激烈なトーナメントとなったが、川井も計量下限ギリギリの63キロで挑戦。しかし、初戦となった準々決勝で惜敗した。試合後は目に涙を浮かべながらも「悔しい気持ちはあるが、よく頑張ったなと思う」とすがすがしく語った。
6月の明治杯全日本選抜選手権では、女子57キロ級の金城(旧姓川井)梨紗子(29)、53キロ級の志土地(旧姓向田)真優(26)がそれぞれ敗れ、五輪金メダリストのパリ五輪への道が途絶えた。その一方で、世界選手権を制した藤波朱理(20)=日体大=、桜井つぐみ(22)、元木咲良(22)=ともに育英大=ら台頭する若手が初の五輪切符を獲得。21年夏の東京五輪からわずか2年ながら、新旧の世代交代が顕著となった。