慶大生レスラー尾崎野乃香 階級上げて涙の起死回生V パリ五輪切符に王手「夢を必ず実現する」1・27代表決定プレーオフへ
「レスリング・全日本選手権」(24日、代々木第二体育館)
24年パリ五輪代表選考会を兼ねて行われた女子68キロ級の決勝で、世界選手権65キロ級覇者の尾崎野乃香(20)=慶大=が、22年世界選手権同級覇者の森川美和(24)=ALSOK=に7-0で勝利し、2年ぶり3度目の優勝を果たした。これでパリ五輪切符に望みをつなぎ、来年1月27日に実施される代表決定プレーオフ(東京・味の素ナショナルトレーニングセンター)で、世界選手権5位の石井亜海(育英大)と一騎討ちで争う。
みなぎる自信とエネルギーにあふれる慶大生レスラーが、初参戦した68キロ級の頂点に立った。前半に素早いカウンターから先制すると、後半も相手の反撃を許さずに完封勝利。「勝ってパリにつなげるんだって思い一筋で戦った。気持ちが強い方が勝つし、いかに自分を心の底から信じられるかが大切になると(思っていた)。誰にも負けないくらい練習することと、自分を信じて試合で出すということをできてよかった」と目に涙を浮かべながら、うなずいた。
元々は62キロ級を主戦場とし、昨年は世界の頂点にも輝いたが、国内代表争いに敗れてパリ五輪への道が断たれた。ただ、今年9月の世界選手権で石井が68キロ級の五輪代表決定を逃したため、階級を上げて挑戦。フィジカル強化に励み、週に1度は山梨・韮崎工高の文田敏郎監督の門をたたき課題だったディフェンスを強化するなど、自信をつけて臨んだ。今大会はさまざまな階級から世界選手権のメダル経験者6人が一堂に会するサバイバル戦となったが、尾崎は初戦から石井に完勝するなど、すさまじい勝ちっぷりでトーナメントを席巻。「今回の試合はゾーンじゃないが、大会を通して自分じゃないくらい、研ぎ澄まされた中で試合をしていた。一喜一憂することない次元になって、自分でもびっくりしている」と目を丸くした。
回り道はしたものの、上の階級で起死回生Vを果たし、悲願の五輪切符まであと1勝。年をまたいで1カ月後に再び石井と一騎討ちで争うが、「チャンスを絶対につかみ取るという思いで、この1カ月全力で頑張ります。小さい頃からの夢を必ず実現させたい」と決意を込めた。
◆尾崎野乃香(おざき・ののか)2003年3月23日、東京都足立区出身。7歳からレスリングを始めた。高校進学と同時に18年からJOCエリートアカデミーに入校し、卒業後は慶大に進学。164センチ。