奥原希望 涙の途中棄権でV逸「相手に申し訳ない気持ちがいっぱい」右足負傷で力入らず
「バドミントン・全日本総合選手権」(30日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)
女子シングルス決勝が行われ、2016年リオデジャネイロ五輪銅メダルの奥原希望(太陽ホールディングス)が2大会ぶり6度目の優勝を逃した。1-1(21-17、18-21)と並んだ第2ゲーム終了時点で棄権を申告。杉山薫(BIPROGY)が日本一となった。
満身創痍(そうい)だった。前日から違和感のあった右足が、この日の朝のウオーミングアップで痛みに変わった。「戦えるのかな」。不安を抱えた中「決勝は特別。自分も相手も楽しみにしている」と強い覚悟を持ってコートに立った。
しかし序盤から右足が思うように動かず、踏み込むたびに力が入らなくなった。試合終盤は両手を膝についてうなだれる場面が多くなり、ついに限界を迎えた。「最後まで試合をしたかったんですけど…できなくて悔しい。相手に申し訳ない気持ちがいっぱいだった。やりきりたい気持ちと、足の痛みと脱力感を訴えてくる自分と格闘した」。壁に手をつき右足を引きずりながら現れた会見中も、涙は止まらなかった。
昨年の世界選手権でも同箇所の負傷が原因で棄権しており、大事に至らないことを祈るばかり。24年パリ五輪選考ランキングは、日本勢3番手の22位。五輪切符獲得には、16位以内かつ日本勢2番手以上に入る必要がある。「完全に戻ってきている自信と感覚はプレーで示すことができた。早く復活して来年からのレースを戦い切れるようにしたい」。短い休養で万全の状態に戻し、五輪レースのラストスパートをかける。