青学大・佐藤 半月前は病床→魂の区間賞 インフル&虫垂炎乗り越え原監督も脱帽「普通だったら諦める」

 「箱根駅伝・往路」(2日、大手町~箱根町芦ノ湖駐車場)

 2大会ぶりの総合優勝を狙う青学大が5時間18分13秒の往路新記録で、2年ぶり6度目の往路優勝を果たした。4区の佐藤一世(4年)ら3人が区間賞を獲得して他校を圧倒した。出雲全日本選抜、全日本を含めた、史上初の2季連続大学三大駅伝3冠を狙う駒大は2分38秒差の2位。城西大は5時間21分30秒で史上最高の3位に食い込んだ。復路は8位の大東大以下、首位と10分以上の差がついた16校が一斉にスタートする。

 半月前は病床に横たわっていた青学大の佐藤が、下馬評を覆すミラクル往路制覇の原動力となった。体調不良を乗り越え、4区起用に応える執念の区間賞で駒大との差を拡大。「この1年、箱根で優勝することだけを目標に練習してきて、自分でも自信があった。(3区までに)いい位置で持ってきてくれたので引き離せた」と胸を張った。

 12月初旬にインフルエンザに感染。5日間寝込んで練習を再開した矢先、今度は夜中に激しい腹痛に襲われ、翌日、病院に駆け込んだ。診断は虫垂炎。軽度のため手術は免れたが、またもベッドで寝る生活で5日ほど走れなかった。

 箱根本番に間に合わない焦燥感に襲われたが、原晋監督から「大丈夫」と背中を押され、諦めずに調整を続けた。最後の箱根路で執念を発揮し「心が折れたが、周りに支えられてスタートラインに立てた。絶対に走りで恩返ししたかった」と目を潤ませた。

 タスキを受けた5区若林宏樹(3年)は「佐藤さんの魂の走りに力をもらった」。指揮官も「12月にほぼ練習してなくて、出場も難しい状態からよく走った。インフルエンザで寝込んで、虫垂炎で寝込んで、普通だったら諦めますよ」と教え子の執念に脱帽した。

 原監督が掲げた「負けてたまるか!大作戦」を聞いたときは「センスないな(笑)」と語呂の悪さにずっこけたという佐藤だが「選手一人一人に『負けてたまるか!』という気持ちは少なからずあった」と呼応。急病、そしてライバルに対する反骨に燃えた4年生の“一世”一代の走りは、王座奪還を目指すチームに活力を与えた。

 ◇佐藤一世(さとう・いっせい)2001年7月21日、千葉県松戸市出身。小金中から千葉・八千代松陰高を経て青学大に進学した。箱根は1年時は4区で区間4位、2年時は8区2位。3年時は7区を任され区間7位。今季は出雲で3区4位、全日本で3区8位。164センチ、48キロ。

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