青学大Vの裏に驚異の新世代厚底 マラソン世界新樹立、定価8万円超え、耐久性マラソン1回分の“勝負靴”を2区間投入 3区では敵将驚く激走導く
「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)
往路を制した青学大が復路も圧倒し、第100回の記念大会を10時間41分25秒の大会新記録で2年ぶり7度目の総合優勝を果たした。2位の駒大に6分35秒差をつける圧勝だった。
レース後、原監督は選手たちの手で掲げられ、胴上げで3度宙を舞った。優勝インタビューで原監督は優勝会見では「“負けてたまるか!大作戦”と称して2日間戦ってきたが、12月前半から中盤にかけて、(インフルエンザにかかる選手が続出し)箱根で優勝なんかできっこない、そんな悪いチーム状況だった。それが3週間の中でなんとか学生の奮闘をもって優勝できた」と学生達をたたえ、「これも20年間かけて、原メソッドを、7年前から大学院に通わせていただいて、メソッドを体系化させてデータ化させた。その基本軸があったからこそ、柔軟に対応することができた。その結果として大会新での優勝につながったと思う」と、胸を張った。
指揮官の勝負勘が光った。往路は当日変更で2区に黒田朝日(2年)、3区に太田蒼生(3年)と原監督が“駅伝男”と評する2人を並べた。さらに2人が履いたシューズはアディダス社の「ADIZERO ADIOSPRO EVO1」。9月のベルリンマラソンで女子のティギス・アセファ(エチオピア)が従来の記録を2分11秒更新する2時間11分53秒の世界新記録を樹立した際に履いていた新世代厚底シューズ。超軽量で定価8万2500円、耐久性はフルマラソン1回分という“勝負靴”をこの2区間だけ投入し、駒大崩しを狙った。
狙い通りに2区黒田が駒大・鈴木芽吹主将を追い上げて区間賞、3区太田が駒大の“怪物”佐藤圭汰から首位を奪還。同区間日本選手初の1時間切りの区間賞をマークし、駒大・藤田監督に「あれでみんながビックリしてしまった。想定が狂った」と話す激走で勝機を呼び込んだ。
勢いそのままに往路を制すると、復路は全員が初箱根という挑戦的な布陣を成功させ、独走に持ち込んだ。箱根だけは譲らない。青学大の執念が実った戦いだった。