小林陵侑3度目ジャンプ週間総合V 0勝での頂点に苦笑い 適応力発揮4戦全てで2位

 「ノルディックスキー・W杯ジャンプ男子」(6日、ビショフスホーフェン)

 年末年始恒例のジャンプ週間全4戦の最終戦を兼ねて行われ、北京五輪金メダリストの小林陵侑(27)=チームROY=が1回目に137メートル、2回目に139メートルで2位となり、2季ぶり3度目のジャンプ週間総合優勝を果たした。賞金10万スイスフラン(約1700万円)を獲得。3度の総合制覇は史上3位で6人目となった。ジャンプ週間全4戦で1勝もせずに総合優勝したのは、主催者によると史上9人目で1998~99年シーズンのヤンネ・アホネン(フィンランド)以来。

 小林陵が「黄金のワシ」を雪の夜空に突き上げた。1勝もせずに頂点に立ち「面白いっすね」と苦笑したが、4戦とも2位の結果は特徴の異なる四つの台を巧みに攻略した証しだ。

 1回目はスキーを予備用と取り違え、慌てて本番用を取りに戻った。傾斜が緩い独特の助走路にも惑わされず、飛躍でトップに。この時点で総合優勝を、ほぼ手中に収めた。

 今季はブーツのかかと部分の厚みが最大45ミリから40ミリに減り、助走の重心が乱れる選手が続出した。もっとも、変更に難なく適応した。快挙に「上々ですね」とうなずきつつ「もうちょっと頑張れってことなんだと思う。アスリートとして、パフォーマー(表現者)として」とも言った。

 昨季まで所属した土屋ホームを退社し、プロ転向1季目。試合後の会見では、海外メディアから総合優勝の賞金10万スイスフラン(約1700万円)の使い道を聞かれて「家(の購入資金)」と答え、笑いを誘う一幕も。27歳の五輪金メダリストが、アホネンが持つ総合優勝5度の最多記録を塗り替える日も、そう遠くはなさそうだ。

 ◆小林陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年11月8日、岩手県出身。盛岡中央高を経て土屋ホームに入社。18~19年シーズンに欧州勢以外で初のW杯個人総合優勝し、ジャンプ週間では史上3人目の4戦全勝を達成した。21~22年シーズンはW杯とジャンプ週間でいずれも総合優勝し、北京五輪で金1銀1のメダルを獲得。23年4月にプロ転向を表明した。174センチ、59キロ。

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